2011年6月23日(木)「しんぶん赤旗」
被災者優先か党利党略か
国会会期延長騒動が示すもの
国会は、22日の会期末まで菅直人首相と民自公3党が首相の退陣時期をめぐって政争を繰り広げたあげく8月末まで70日間の延長で決着しました。
同日、本紙読者からこんな電話が寄せられました。
「被災地ではローンを組めず、自殺者や衰弱死も出ている。液状化で水道が出ず、風呂にも入れない。なのに民主も自民、公明も自分の党のことしか考えていない。こんな政治でいいのか」
内閣不信任案をめぐる騒動に続く今回の会期延長騒動は、この被災者優先か党利党略か―各党の姿をいや応なく浮かび上がらせました。
政争に明け暮れ
延長をめぐって民主党は120日から50日、70日へと二転三転。国会会期は何をやるのか中身があって決まるものであり、会期延長を党利党略でもてあそぶものだといわれても仕方ありません。
二転三転したのは、首相の辞任時期をめぐって折り合いがつかなかったためですが、自公両党は「退陣時期が明確でない」として会期延長に反対しました。内閣不信任決議騒動と同じように、被災者そっちのけの政争に明け暮れました。
延長国会で民主党は2次補正予算案と赤字国債発行のための公債特例法案の成立をはかるとしています。
しかし、検討されている2次補正予算案の二重ローン対策は、中小零細業者が救われない仕組みなど被災者の願いにこたえない問題点が早くも浮かび上がっています。
公債特例法案は、2兆円減税など大企業・大資産家優遇の予算執行のために赤字国債を発行するもの。こうした財源は被災地に回すべきものです。
しかも、「復興に逆行する」との被災者の声も聞かず、菅政権は財界・大企業やアメリカが求める環太平洋連携協定(TPP)参加、税と社会保障の一体改革の名による消費税増税、米軍新基地建設などをすすめようとしています。
裏では密室談合
しかも、3党は表では醜い政争を繰り広げながら、裏では、密室談合で一気に成立させるなど事実上の「大連立」をすすめています。
会期延長の政争を繰り広げていた22日、参院本会議では民自公3党の談合で提出されていた税制改定法案が可決、成立しました。大企業のための研究開発減税や大資産家のための証券優遇税制の2年延長などを盛り込んだもので、「大企業・大資産家優遇をやめて、被災者支援に回せ」と反対したのは日本共産党だけでした。
日本共産党は、政争にはくみせず、被災者の生活再建に国が責任を持つべきだとして、被災地の切実な要求を質問や提言で取り上げ実現させてきました。住宅再建、液状化、雇用対策など論戦をリードして実現させたものも少なくありません。
民自公3党が原発推進でもTPPや消費税増税でも変わらないなか、政府に対し原発撤退を決断し、原発ゼロへ期限を決めたプログラムを求めるなど被災者や国民の立場にたってたたかう姿も際立っています。
共産党の存在
2次補正予算や原発問題などが焦点となる延長国会でも、だれが被災者の立場にたっているのか各党の姿が厳しく問われます。
前出の読者は、電話の最後にこう結びました。「いま国会は被災者の生活を再建するために力をあわせるべきだ。共産党の活動はこれをしっかり貫いている。なくてはならない存在だ」 (深山直人)
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