2011年6月22日(水)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
ミサゴは、大型のタカです。おもに魚を食べるタカです。南極、北極、南米を除く世界中にいます▼魚をみつけると空中で止まって(ホバリング)ねらいをつけ、足から水中に飛び込み、つかみとって仕留める。なかなかの漁の達人らしい。獲物は定まった岩や木の上で食べるというのですから、行儀もよさそうです▼辞書には、「みさごずし」という言葉も載っています。ミサゴが捕って岩陰に蓄えておいた魚が、潮水で発酵し、酢につけたようになるそうです。“保存食”を食べるとは、賢いタカかもしれません▼英語の辞書で「オスプレイ」を引くと、「ミサゴ」と出ます。タカのミサゴです。アメリカ軍の輸送機、MV22オスプレイ。なるほど、両の主翼の端に大きな回転翼をつけた姿は、魚をねらうミサゴに似ています。回転翼の向きを変えて、ヘリコプターのように垂直に離着陸でき、水平にはプロペラ機のように飛べます▼しかしミサゴは、“下手な飛び方でミサゴと名乗るな”と怒るかもしれません。開発時から墜落事故が続きます。爆音がひどい上、国内だけでなくアフガニスタンまで行って墜落するほど、行儀も悪い。乗せられる米兵はたまりません▼米軍が、オスプレイを来年秋から沖縄の普天間基地に配備すると発表しました。計24機。よりによって、周りの人口が密で、アメリカ自身が「世界でもっとも危険な基地」と認める普天間に。米軍には、沖縄の人々が、ミサゴの目にうつる魚のようにみえているのでしょうか。