2011年6月21日(火)「しんぶん赤旗」
仮設入居でホッ でも…
食事支援 やめないで
すべて失った 「自立」扱いなんて
共産党 環境改善 力合わせ
大震災から100日がすぎ、避難所から仮設住宅への入居が始まっています。「ホッとした」という声とともに、食料支援が打ち切られ水光熱費が自己負担になり重くのしかかるなど問題も出てきています。日本共産党は被災住民と力を合わせ改善に取り組んでいます。(二宮亜里、松田大地)
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60代の夫婦は津波で家が流され4日、宮城県多賀城市営住宅の跡地に建設された仮設住宅に入居しました。
「プライバシーが守られようやく足を伸ばして寝られるのはうれしいけど、何もかも失ったのに仮設に入ったとたんに『自立』扱いされ、水光熱費の自己負担が当然なんて…」と顔を曇らせました。
入居説明会には水道や電気、ガスの各事業者が同席し、説明会が終わるとすぐに料金支払いに関する契約が行われました。
希望にマッチしない形での入居にも首をかしげます。
息子夫婦と孫2人の6人で同居するつもりでしたが、仮設住宅の場所が知らされたのは、入居が決まった後のこと。孫の学校から遠すぎてやむなく息子夫婦との同居はあきらめました。
また、機械的な抽選で入居が決まるので、今までの近所の人とばらばら。顔見知りのいない生活に戸惑いを感じています。
管理会社が仮設住宅の維持・管理を行いますが談話室に鍵をかけたままです。
「談話室を開放してほしい。談話室で食事や生活必需品の支給を続けてくれれば、自然とみんなが顔を合わせられる。お年寄りが部屋に閉じこもることもなくなると思う」と夫婦は話します。
日本共産党の多賀城市議団(藤原益栄団長・4人)は住民の要望を聞き改善運動に取り組んでいます。
車いすの夫 狭いトイレ入り口・浴室
仮設住宅 介護にも悩み
仮設住宅での生活は、経済的な問題だけでなく、介護の必要な高齢者や障害者にとっても大きな困難があります。
宮城県多賀城市の多賀城公園内にある市営野球場のグラウンドに建設された仮設住宅。ある女性(78)は9日、4畳半の居室が二つとキッチン、風呂、トイレがついた広さ30平方メートルほどの部屋に入居しました。車いすで生活する要介護4の夫(78)と暮らす予定です。
女性は高齢者の世帯として、優先的に入居することができました。しかし、部屋は要介護者に対応したバリアフリー構造ではありません。
トイレの入り口は車いすで入れる横幅がありません。
風呂と洗面台が一緒になった2点ユニットシステムの狭い浴室で夫の入浴はとても無理。入り口には高さ15センチほどの段差もあります。
震災の日から夫を介護施設に受け入れてもらい、女性は親類を頼って転々と避難生活を続けました。
「広くて風も通るし、ようやくお父さんと一緒に暮らせる」と話しますが、仮設住宅で車いすの夫を介護することに不安を感じています。
雨漏りを補修
住民から喜びの声
一方で、仮設住宅の不十分な設備や環境を改善させる動きも出ています。宮城県塩釜市の伊保石地区にできた仮設住宅では、玄関の軒と家屋のつなぎ目からの雨漏りに悩む声が相次いでいました。同市の桂島の自宅が全壊した女性(57)は、「自分たちで直すと(金銭的)負担になるのかと思い大変だった」と話します。
日本共産党市議団(小野絹子団長・5人)は現地調査で寄せられた「靴がぬれる」「玄関のガラスを雨水が伝ったり、はねたりする」という実態に基づき、5月12日には市に対し雨漏り箇所の補修などを緊急に申し入れました。さらに県にも要請しました。
県から大半の建設事業を委託されているプレハブ建築協会は「公表していない」と語るものの、入居者らによると、雨漏りが指摘されていた同地区の1・2次分の仮設住宅108戸(1次分は4月28日から入居開始)の補修工事が今月中旬までに行われたと見られます。住民からは「すぐ直してくれて助かった」と喜ぶ声が聞かれます。同協会や各業者への補修要請は県内で177件(20日現在)にのぼります。
党市議団の小野団長は、「被災者の気持ちを大事にした支援をしていく必要がある」として、今後、仮設住宅向けのニュースを配っていく考えです。
「救助対象成り得る」
高橋議員に厚労相
高橋ちづ子衆院議員は5月19日の本会議で仮設住宅での食料支援問題について「仮設に入居しても生活の糧のない人もあり救助の対象とするべきだ」と質問。細川律夫厚労相から「現に救助を必要とするものであれば災害救助法の対象に成り得る」という答弁を引き出しています。