2011年6月20日(月)「しんぶん赤旗」

NHK日曜討論 市田書記局長の発言


 8党の書記局長・幹事長が出席した19日のNHK番組「日曜討論」で、日本共産党の市田忠義書記局長が行った発言は次の通りです。


首相の退陣問題

自民と民主の政争が目立つ、被災者・国民を置き去り

 司会の島田敏男解説委員は、退陣に触れた菅直人首相が22日の国会会期末を目前にして辞任時期を明らかにしない事態について問いかけました。自民党の石原伸晃幹事長は「このままでは国益にとってマイナスだ」と批判。公明党の井上義久幹事長も「政権の体をなしていない」と述べ、首相の早期退陣を要求しました。民主党の岡田克也幹事長は、首相自身が決断すべきことだと述べ、与党内での早期退陣要求の動きを否定しました。

 市田氏は次のように指摘しました。

 市田 首相退陣をめぐる一連のこの間の動きをみていると、率直にいって自民・公明の側も、民主党の側も、双方の党略的政争が目立つという感じがします。被災者・国民は、こんなときに何をしているのかと(みている)。自公のほうは“菅さんが居座り続ける限りはまともな審議はできない”といい、民主党は“公債特例法案を通してくれたら総理の首を差し出してもいい”といっているという報道もあります。こういう政争で被災者・国民が置き去りにされる政治は一番避けなければなりません。

 ただ、菅内閣の震災対応や原発対応は大変不十分で遅い。がれきの撤去は進まないし、仮設住宅に入れば食料の保障がないから入らない人もいます。

 このごろ本当に腹立っていることがあるんですが、義援金(の支給)が遅れていますが、受け取ったら生活保護が打ち切られたという。こんな冷たい政治をやっていいのか。そういう政治の中身が問われていると思います。

国会会期の延長

生活と生業の基盤の回復を、2次補正へ一定の期間は必要

 20日予定の与野党書記局長・幹事長会談で与党が提案する国会会期の延長幅について問われた岡田氏は、「いまこの場でいうわけにはいかない」と述べつつ、2011年度第2次補正予算案や公債特例法案の議論と審議には「かなり時間がかかる」として、「秋のどこかの段階まで」の延長を示唆しました。自民党の石原氏は、延長幅については「公式にも非公式にも岡田氏から話はない」と発言しました。会期延長への態度を問われた市田氏は、次のように主張しました。

 市田 会期延長は当然だと思っています。その理由は、一人ひとりの被災者の生活と生業の基盤を国の責任できちんと回復していく必要がある。そのための本格的な2次補正をきちんと組む必要があります。2次補正の中身については各党間で意見の違いがあり、じっくり時間をかけて議論をする必要があります。

 「二重ローン」解消についても与党案が検討されていますが、あれでは一部の中堅企業が救済されるだけで、零細の商店や業者は救済されるものになっていないという問題もあります。わが党は「原発からのすみやかな撤退、自然エネルギーの本格的導入を」という提言も出しました。こういう問題をまずきちんと議論しようと思うと、やはり一定の期間の会期延長は当然だと思っています。

公債特例法案・子ども手当見直し

法人税減税や原発予算など抜本的な組み替えを

 民自公3党による公債特例法案をめぐる協議、子ども手当の見直しについて、“直ちに年少扶養控除を戻せ”という自公の要求に対し、民主党の岡田氏は、「いまそれをやる選択肢はない」と拒否。自民党の石原氏は、政府・与党が子ども手当法案を取り下げたことで、「このままいけば児童手当に戻る」と指摘し、復興財源確保などを理由に児童手当への所得制限導入を主張。公明党の井上氏も「中学まで一律1万円」という独自案を強調し、「われわれが考えられる範疇(はんちゅう)なら合意できる」などと発言しました。

 市田氏は、公債特例法案の各党間の議論に対し、「子ども手当の問題だけに矮小(わいしょう)化されている」と批判し、次のように指摘しました。

 市田 これ(子ども手当についての意見対立)に決着がつけば(特例法案に)賛成か反対かという立場には、われわれはくみしません。たとえば、法人税減税や証券優遇税制で大企業や大金持ちに2兆円の減税をばらまく、あるいは政党助成金の分け取りをやるとか、こういうときに原発推進の予算だとか、あるいはTPP(環太平洋連携協定)推進、こういうものについて抜本的な予算の組み替えをやるべきであり、子ども手当がどうなるかということだけで公債特例法案に賛成することはできません。

 それから、子ども手当の問題に関していうと、金額だけが問題になっていますが、やはり多くの子育て世代がいま求めている待機児童の解消や総合的な子育て政策が一切議論されていないと思います。結局、子どもを人質にとった党利党略です。こういうやり方をやってはまずい。3党だけで合意されても、わが党は拘束されるものではありません。

大連立問題

国民の声が生かされる国会がいま一番求められている

 司会者の島田解説委員が、岡田氏が提唱した「大連立」の行方について「広がる気配がない」と岡田氏に水を向けました。岡田氏は、大連立が前に進まないのは「残念だ」と述べつつ、復旧・復興問題での協力を積み上げながら「話し合いをしていく」と発言。石原氏は、与党の側の「信頼性、確実性」、協力の「積み重ね」が大事だなどと表明。公明党の井上氏も「信頼関係が大事だ」と述べました。

 国民不在の議論に対し、市田氏は、次のように発言しました。

 市田 この間も、(日本共産党は)被災者救援のために、政府や行政ではつかみきれない要求を、わが党の草の根ネットワークを活用して(集約し)、21回にわたる各党・政府震災対策合同会議で要求をぶつけてきましたし、(党として)第1次、2次提言も発表してきました。第1次補正予算には賛成しましたが、復興のあり方や原発問題などでは(各党、政府と)対立点があります。

 上からの復興なのか、本当に住民の要求をもとに復興をやるのか。原発については撤退を決断するのか、引き続き継続するのか、こういう中身の議論をきちんとやることが大事です。

 (国会での)参考人質疑で、“こんなときにTPPの推進か。絶対反対だ”という参考人の発言がありました。それから、漁協の方が、“漁業の集約化、株式会社の参入は困る”と(述べ)、“原発からの撤退”という声もありました。そういう声が生かされる国会にしていくことが、いま一番求められていると思います。





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