2011年6月20日(月)「しんぶん赤旗」
民・自・公 政争の一方で談合
すでに「大連立」
菅直人首相の退陣時期をめぐって「対立」しているはずの民主党と自民・公明両党が、密室談合で重要法案の取り扱いを決め、まともな審議もなく成立させる動きが続いています。政策的にはすでに「大連立」ともいえるもので、国民不在の危険な動きです。(国会取材団)
被災者不在の修正
“密室談合”の動きが露骨に現れたのは、自公両党が首相不信任案を提出した今月1日、まさにその同じ日に密室で行われていた「復興基本法案」に関する修正協議でした。
3党は表では激しい政争を繰り広げながら、政府案に「復興庁」や「復興特区」を盛り込むことなどで合意。復興計画は本来、住民合意でつくるべきなのに、国が復興の「基本的な方針」を定め、自治体がこれを踏まえ「措置を講ずる責務を有する」と規定するという逆立ちした法案をつくりあげました。肝心の被災者の生活基盤の回復を国の責任で行うという要の基本理念は、政府案と同様に欠落させたまま。まさに被災者不在の「修正談合」といわざるをえません。
止まらぬ密室談合
他の法案でも同様の動きが―。16日に衆院を通過した所得税法と地方税法の両改定案も、民主、自民、公明の3党が、今月末で期限が切れる租税特別措置などを政府案から切り離した新法として提出したものです。この中には大企業・大資産家優遇の研究開発減税や証券優遇税制の延長などが盛り込まれています。反対したのは日本共産党だけでした。
密室談合は止まりません。「せめてゼロからのスタートにしてほしい」と、債務の凍結・免除を求める声が商工、農水業者から上がっている二重ローン問題。一部の“優良”企業だけを救済する危険性を抱える政府・与党のスキームをもとに、3党協議が17日にスタート。日本共産党などの賛成で現行制度を継続することになった子ども手当についても、自公が廃止を求めるなか、所得制限や支給額の切り下げについて3党だけで協議をすすめています。
「3党合意」転機に
こうした暴走の転機となったのは、4月29日に3党の政策担当者が合意した第1次補正予算案などの扱いについて結んだ「3党合意」です。
そこでは、税制改定法案について「早急に検討を進める」ことや、成立のめどがたっていない公債特例法案(赤字国債発行)について「成立に向け真摯(しんし)に検討を進める」ことなどを明記しています。
消費税増税の導入をねらう「税と社会保障一体改革」について「必須(ひっす)の課題」とし、「実行可能な案を可及的速やかにかつ明確に示し、国民の理解を求める」ことでも合意していたのです。
もともと、3党には基本的政策に違いはありません。
1日に行われた党首討論。菅首相が浜岡原発の運転停止にかんし、「決して原子力(発電)を否定するものでない」と強調すれば、自民党の谷垣禎一総裁も「原子力エネルギーをやめることはできない」と呼応。消費税増税を含む「税と社会保障一体改革」についても、菅首相が「政府案を出せば協議に乗るか明言せよ」と求めると、谷垣氏は「私どもは2010年の参院選時に(消費税10%を公約し)すでにルビコンを渡っている。あなた方も早く渡ってください」と応じました。
共産党 国民の立場で
こうした動きについて日本共産党の志位和夫委員長は、「一方では党略的な政争を演じながら、一方で被災者不在の『修正』談合をやって、国会での審議はまともにやらずに押し付けてくる。こういう非民主的なやり方も厳しく批判されなければならない」とのべました。
日本共産党国会議員団は国民の立場に立って奮闘しています。
障害者基本法改正案では、民自公3党が修正で合意すると、衆院内閣委員会は趣旨説明から採決までわずか2時間半という拙速でした。
日本共産党の塩川鉄也議員は、障害者の声を聞く参考人質疑さえ行わないことを批判するとともに、党独自の「修正案」を提案。障害者の権利保障について「可能な限り」と限定をつけるなど不十分な規定を改め、障害者が求める障害者権利条約の趣旨を徹底させるよう求めると、傍聴者から拍手が起こりました。
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