2011年6月20日(月)「しんぶん赤旗」
進む少子化 子ども・子育て白書
非正規・低所得化が原因
17日に公表された2011年版「子ども・子育て白書」で、非正規雇用の増加、低所得化が未婚率の上昇や晩婚・晩産化を招き、少子化の要因になっていることが改めて浮き彫りになりました。
晩婚・晩産化
白書では、未婚化と晩婚・晩産化が続いていることが示されました。
2010年の婚姻率(人口1000人に対する結婚件数)は5・5で過去最低を記録。結婚件数は約70万組で前年に比べ約7500組減りました。
平均初婚年齢は夫が30・5歳、妻が28・8歳となり、1975年からの35年間に夫が3・5歳、妻が4・1歳上昇。第1子を生んだときの母親の平均年齢は、29・9歳で、35年前とくらべて4・2歳上がっています。
10年でシフト
こうした事態を招いている要因は、低所得化の進行です。
子育て世代である30歳代の所得は、97年調査では年収500万〜699万円の層が最も多かったのが、07年には300万円台が最多に(図)。白書も「この10年間で低所得層にシフトしている」とのべています。
白書が紹介している内閣府の調査(11年)によれば、20〜30歳代の男性で結婚している人の割合は年収300万円を境に大きな差がついており、300万円以上では25〜40%の人が結婚しているのに対し、300万円未満では8〜10%にとどまっています。
男性の雇用形態別にみると、30歳代前半では正社員の60%が結婚しているのに対し、非正規労働者では30%と半分。20歳代後半では正社員35%に対し非正規労働者は15%と倍以上の差があります。
低所得は結婚を妨げる要因であり、この間、正社員を非正規労働に置き換え、低所得化をすすめた政府・財界の政策が、未婚化・晩婚化に拍車をかけているといえます。
内閣府の調査(11年)では、「いまより子どもを増やさない、または増やせない」とした人は、スウェーデン7%、アメリカ、フランスが10%台なのに対し日本は48%。理由のトップは「子育てや教育にお金がかかりすぎる」でした。日本は、経済的要因で子どもを生みにくい国であることが分かります。
肝心な点欠如
自公政権は「少子化対策基本法」(03年)、「少子化社会対策大綱」(04年)、「新しい少子化対策について」(06年)などを相次いで出し、民主党政権は「子ども・子育てビジョン」(10年)を出しています。
しかし、それらにはまともな雇用と賃金にするために大企業を規制し、責任を果たさせる姿勢が一切ありません。最も肝心な点が欠けているので、何度「少子化対策」を出しても効果がありません。
労働者派遣法を抜本改正して「雇用は正社員が当たり前」のルールをつくる、最低賃金を引き上げる、大企業と中小企業の公正な取引ルールをつくる―それによって異常な“賃下げ社会”を抜け出すことが不可欠です。
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