2011年6月19日(日)「しんぶん赤旗」
ドイツ・トリッティン元環境相 来日記者会見
原発のコスト高くつく
自然エネ拡大 日本も課題
ドイツ連邦議会の90年連合・緑の党の議員団長を務めるトリッティン元環境相は17日、日本記者クラブで記者会見し、原発は再生可能エネルギーなどに比べても、コストが高くつくと強調しました。同氏はシュレーダー政権(1998―2005年)時代に環境相を務め、いち早く脱原発と再生可能エネルギー拡大を進めた立役者の1人です。
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同氏の発言は、原発からの撤退に伴い、再生可能エネルギーの割合を引き上げれば、電気料金も高くなるのではないかとの質問に答えたもの。ドイツ政府は原発から段階的に撤退し、2022年までに全廃する方針です。
トリッティン氏は、ドイツの電気料金は、一般家庭用も産業向けも高めだが、そのことでこれまでドイツの国際競争力に悪影響は与えていないし、これからもないと述べました。
その上で、原発の場合、寿命の尽きた原発を停止し、何年もかけて安全に廃炉にし、解体するコストや、放射性廃棄物を最終処理し保存するコストも計算に入れるべきだと指摘。「こうしたコストが電気料金に上乗せされれば、誰も原発が安いとは主張できない」と表明しました。
また、重大事故が起これば、日本でのように賠償金は膨大になり、もし電気料金に転嫁されたら大変なことだと指摘しました。
今後のエネルギー政策について同氏は、短期的には省エネ、中期的には再生可能エネルギーの利用拡大が重要だと強調しました。
記者会見後、同氏は、本紙の質問に答え、日本の課題は脱原発とともに再生可能エネルギーなどを拡大していくことだと話しました。