2011年6月19日(日)「しんぶん赤旗」

通信の秘密侵害も

サイバー刑法 井上氏指摘

参院委


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(写真)質問する井上哲士議員=16日、参院法務委

 日本共産党の井上哲士議員は16日の参院法務委員会で、コンピューター・ウイルスの作成、供用などサイバー犯罪を取り締まる刑法等改定案に盛り込まれた通信履歴の保全要請について、「憲法で保障された通信の秘密を侵害する恐れがある」と指摘しました。

 法案では、捜査機関はプロバイダーに対し通信履歴を消去せずに保全するよう要請できます。要請は裁判所の令状なしで可能です。

 井上氏は、江田五月法相が通信履歴は「通信の秘密」の対象となるが、通信内容そのものではないので一定の制限が可能との見解を示していることを指摘。通信履歴は本来、課金など業務目的以外での保全は認められておらず、誰と通信しているかが捜査機関に明らかになることは報道機関にとっては「取材源の秘匿」も侵されることになると強調しました。江田法相は「(公共の福祉との)かねあいの問題」などと答弁。井上氏は「通信の秘密にかかわる問題が、差し押さえの必要性も明らかでない段階で令状なしで可能になるのは問題だ」と述べました。

 法案は、差し押さえがコンピューターである場合、他の記録媒体に複写して差し押さえることも可能としました。江田法相が、どちらの方法を選ぶかは「捜査機関の判断に委ねる」と答弁していることについて、井上氏は「捜査権限の乱用につながる。『複写が可能な場合、コンピューターは原則、差し押さえできない』と運用を明確化すべきだ」と強調しました。





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