2011年6月18日(土)「しんぶん赤旗」
被ばく対策を追加
東電が工程表を改訂
東京電力は17日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の事故収束に向けた工程表の改訂版を発表しました。今回、緊急時の被ばく線量限度250ミリシーベルトを超える作業員が相次いだことから、新たな課題として放射線管理の強化と医療体制の改善を盛り込みました。
最初の工程表を発表してから2カ月目で、2度目の改訂。東電の武藤栄副社長は「予定通りの進捗(しんちょく)をみている」として、これまで「放射線量が着実に減少傾向となる」(ステップ1)を7月までに、「放射線量が大幅に抑えられる」(ステップ2)をステップ1達成から3〜6カ月後とした達成時期は変更しませんでした。
今回の工程表では、今後1カ月で汚染水を増やさず原子炉を冷却する循環注水冷却を開始し、2、3号機の水素爆発の回避のための窒素注入も実施するとしています。しかし、東電は、これらができる要件は、汚染水の放射能濃度を下げる水処理システムが安定的に動くかどうかだとしており、試運転でトラブルが相次ぐなか、見通しは不透明です。また汚染水の保管場所は綱渡りが続いています。
工程表で新しく盛り込まれた作業員の放射線管理の問題では、個々人の作業時間を厳格に管理するとして、内部被ばくを測定するホールボディーカウンターを10月までに12台増設し、線量計の自動記録化をするといいます。また熱中症対策などで、24時間常駐する医師を増員し、診療所の新設や休憩所の増設を進めるとしています。
また水処理システムによって大量の高濃度廃棄物の高レベル廃棄物が出るため、放射線を遮蔽(しゃへい)して保管・管理するなどの対策を盛り込みました。
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