2011年6月18日(土)「しんぶん赤旗」
福島第1原発
高濃度汚染水処理システム
本格的運転を開始
東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)で増え続ける高濃度汚染水の処理システムの本格運転を17日に開始しました。東電が同日夜、発表しました。
これまで放射能濃度の比較的低い汚染水で試運転していました。
高濃度の放射能汚染水は、原子炉を冷やすために1日約500トンずつ増えており、現在1〜4号機の原子炉建屋地下などに合わせて11万トンあるとみられています。今月下旬には地下水や海への漏出の恐れがあります。
水処理システムは仏社製除染装置や淡水化装置など四つの装置から構成されており、高濃度汚染水の濃度を低減し、タンクに保管した後、18日中にも再び原子炉に注水する「循環注水冷却」を確立する方針です。汚染水を増やさないためのシステムで、処理能力は1日1200トン。来年夏まで運転する予定です。
水処理システムのうち、米社製セシウム吸着装置は16日夜に水漏れが見つかり、17日に修理しました。吸着剤としてゼオライト(沸石)を充てんしたセシウム吸着装置のうち、汚染水が通る直径90センチ、高さ2・1メートルの吸着塔の安全弁が破損したため。漏れた水は吸着塔が収まるスキッドと呼ばれる容器の底に6トンたまっていました。水は回収したといいます。
東電は、作業員が現場で遮蔽(しゃへい)板を据え付ける作業をした際、弁を閉じるハンドルに触れたのではないかとみて、本格運転の際は同様の作業はしないといいます。
同装置は、10日に試運転を開始していますが、配管接続部の水漏れなどトラブルが相次いでいます。工程表で掲げる「処理施設の安定稼働」が課題となります。
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