2011年6月17日(金)「しんぶん赤旗」
サイバー刑法改定案可決
井上議員が反対討論
参院法務委
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コンピューター・ウイルスの作成・供用などサイバー犯罪を取り締まることを掲げた刑法等改定案が16日の参院法務委員会で、民主、自民、公明、みんなの各党の賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。
日本共産党の井上哲士議員は採決に先立つ討論で、「利用者に重大な被害を及ぼす不正なプログラムの広がりに対処することが求められるが、正当化しがたい内容だ」と指摘しました。
井上氏は、法案がウイルスの作成段階で犯罪化することについて、「実際の被害発生前の行為を処罰しようとするものであり、刑法の原則に反する」としたうえで、プログラムを行う者の内心の自由、表現の自由を脅かすことになりかねず、被害発生前の摘発となれば見込み捜査で対象者を継続的に監視するなど問題ある捜査手法を招く恐れがあることを指摘しました。
また、ウイルスの「作成・供用等の罪」の構成要件が客観性に乏しく、外形的に処罰の範囲を限定することは困難だと指摘。「あいまいな規定を当局が運用して対処することは、プログラムの作成を行う人々の活動の萎縮を招きかねない」として「コンピューター機能を損なうといった実際の被害に着目した(犯罪)類型をつくるべきだ」と主張しました。
さらに、井上氏は本来なら消去されるべき通信履歴の「保全要請」について、「憲法上保障されている通信の秘密を侵害するおそれがある」と指摘。裁判所の令状なしで要請できる点についても「当局側の乱用をまねきかねない」と批判しました。
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