2011年6月17日(金)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
「震災の義援金を募っています」とかたる、詐欺の未遂事件が相次いでいます。新手の振り込め詐欺です。さすがに、ひっかかる人は少ないそうです▼近ごろ目立つ振り込め詐欺の巧妙な手口は、警察官になりすましての電話かけです。「あなたの口座が振り込め詐欺に使われた。暗証番号を変えないといけないので、番号を教えてほしい。キャッシュカードを預かりに行く」▼カードを渡してしまったら最後、全預金を失います。もちろん、息子や孫を名乗る「オレオレ詐欺」もあとを絶ちません。ところで最近は、「やるやる詐欺」という言葉を聞くようになりました▼「全力あげて震災対策をやる」。あれもこれもやるというが、いっこうに震災と原発事故への対策がすすんでいない。政府へのいらだちを表す「やるやる詐欺」。もともとは7年前、菅直人議員が当時の小泉首相に向けた言葉とか▼「やめるやめる詐欺」という言葉も、登場するかもしれません。菅首相は“やめる”とほのめかしたのに、いつまで続けるつもりなのか。しかし、当事者を除くほとんどの人は、政争を繰り広げている場合ではないと思っています▼「早くやめろ」「まだやめない」に精力と神経を注いでいては、震災対策に身が入らないでしょう。やめさせたい勢力にとっては、内閣が「やるやる詐欺」を犯すほど好都合、というおかしな話です。人を惑わせる首相の姿も、政治不信をよぶばかり。民主党の標語にならえば、「被災者の生活が第一」のはずです。