2011年6月15日(水)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 河口からさかのぼった、旧北上川の堤防に立つ。何事もなかったかのように流れる川。しかし、堤防のすぐ内側の公園には仮設住宅が建って、入居者を待ちます▼堤防と公園にはさまれた狭い道路が、“仕事場”でした。「せめて1日でもボランティアを…」と、仲間3人と宮城県石巻市の日本共産党震災・救援対策センターへ駆けつけました。与えられた仕事が、側溝の泥出しです▼コンクリートのふたを一枚一枚はずし、泥をさらっては道路に積み上げる。泥を袋に流し込み、一輪車で集め1カ所に運ぶ。道路を掃除しながら、ふたを元に戻す…▼水を含む泥の重さ。ふたも重く、「倒すとき指をつぶすなよ」と注意がとびます。最後は腰をかばい猿人に先祖返りしたような格好でしたが、なんとか持ちこたえたようです▼休憩中、家の全壊で借家住まいという男性が通りかかり、石巻の名前のいわれを教えてくれました。北上川の河口近くの巻石という岩の周りを、川の水が巻いて流れるから「石巻」だとか。確かめる時間はありませんでしたが、河口辺りの破壊しつくされた街のようすは目に焼きつけました▼泥をさらうと、よどんでいた水がわずかに流れる一瞬があります。街の再建も、そんな一瞬一瞬の積み重ねと信じたい。仲間の一人がいいました。「10年後ここへきてみよう。今日の仕事が市民の暮らしの中に生きているか確かめに」―。





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