2011年6月11日(土)「しんぶん赤旗」
希望者全て支援を
被災業者に資金出し渋るな
二重債務解消 大門氏追及
「民主党案では中小企業はまったく救われない。これでは町全体の復興はできない」。10日の参院予算委員会で、二重債務に対する民主党案をただした日本共産党の大門実紀史議員。復興の意欲あるすべての中小企業を政府が支援する仕組みを求めました。
大門氏は、「借金を整理しないと新たな資金が借りられず、事業が再開できない。事業を再開できなければ人を雇えない。二重債務の解決は被災地の復興を左右する重大問題だ」と強調しました。
5月13日の参院予算委員会で、大門氏が公的な機関が幅広く債権を買い取る「二重債務解消のスキーム」を提案したのに対し、菅直人首相が「しっかり検討する」と答弁したことにふれ、こうただしました。
大門議員 1カ月たつが、いまだに何の政府案も出てこないのはあまりにも遅すぎる。
菅首相 民主党案をつくったが、国による債権放棄や金融機関による債権の買い取りという問題は案が出ていない。さらに検討をすすめていきたい。
民主党案は、県と金融機関、中小企業基盤整備機構の出資で「中小企業再生ファンド」をつくって債権を買い取り、支援する仕組みです。
大門氏は、民主党案のように中小企業を選別し「ファンド」に送る仕組みは、すでに全国で行われており、支援した企業の96%は売上高1億円以上の中堅企業だけだと指摘。収益を得るため一定の中堅企業しか救済対象とならないと述べ、「事実上、中堅企業だけを助けるようなスキームを被災地に持ち込むこと自体、違和感を覚える」とのべました。
大門氏は「結局、店や工場を失った中小企業の大半は『再生困難』と判断されてしまう。残るのは私的整理か、破産の道しかない」と指摘。被災地の商工会議所などから「これでは中小は救われない」と不安の声があがっていることを紹介しながら、真に復興に資するスキームをつくるよう求めました。
大門議員 いくつかの企業を「点」で救うだけでは、町全体の「面」としての復興などできない。
菅首相 党の方が議論を進めているが十分かどうか、他の党の議論も十分参考にしながら、さらなる検討をするよう努力する。
大門氏は民主党案の根底には、2次ロス(焦げ付いた債権の損失)の処理にお金を使いたくないという財務省の考えがあると指摘。スキームづくりを事務的に仕切ったのが財務官僚であることを明らかにして、「大震災の被災者にお金を出し渋るのはおかしい」と批判しました。
大門議員 今、復興できなければ、国に税収も入ってこない。目先のお金をケチって支援しないことは万が一にもないようにしてもらいたい。
野田佳彦財務相 二重ローン問題解決に必要な財政措置があれば適切に対応する。
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