2011年6月11日(土)「しんぶん赤旗」
主張
大震災3カ月
政治の責任ますます問われる
東日本大震災と東京電力福島第1原発の事故から3カ月たちました。季節は冬から春へ、そして初夏へと大きく移りました。しかし、大震災で被災した人たちと原発事故で避難を余儀なくされた人たちにとって、3カ月は短くもあり長くもあった毎日です。
被災地ではなお10万人近い被災者が不自由な避難生活を続けています。仮設の住まいや店舗で日々の暮らしを取り戻す努力は始まっていますが、本格的な復興の槌(つち)音には程遠い限りです。原発事故は収束のめどさえ立ちません。被災者に希望を示せる政治の責任がいよいよ問われています。
血の通った被災者支援を
震災直後に比べれば減ったとはいえ避難所などで暮らす多くの人たちにとって3カ月にわたる避難生活は忍耐の限度を超します。衣類や寝具も冬物から夏物が求められるようになります。避難所の生活の改善とともに、長期にわたる避難生活による健康破壊への対策や精神面でのケアも切実です。
避難所で疲れ果て、地震や津波で被害を受けたままの自宅で暮らし続ける人も少なくありません。ところが避難所を出たとたん、情報も食事などの支援も受けにくくなるというのでは、あまりに冷たい対応というほかありません。
仮設住宅は6月になってようやく5月末までの目標の3万戸が建設できることになりました。しかし手持ちの資金を使い果たし、仮設に移っても食事などの支援が受けられなくなると、避難所に残る人が相次いでいます。全国から寄せられた義援金も公的な支援金も、ごく一部しか被災者に届いていません。血の通った支援を続け、被災者が希望を失わないようにすることが求められます。
膨大な瓦礫(がれき)の処理で土ぼこりが立ち込める被災地では、農地も漁港も工場も壊れたままです。全国からのボランティアが被災者を力付ける一方、農業や漁業を再生させる政府の対策の見通しは立っていません。漁業に民間企業を参入させるなど、上からの「復興」計画をおしつける政府に、怒りが高まっています。
東電福島原発の震災事故でも、事故の収束や被災者への賠償金の支払いはもっぱら“東電任せ”で自ら責任を果たそうとしない政府の対応に、住民のいらだちは限界です。せめていつ、どうなったら住み慣れたふるさとに帰り、農業などを再開できるのかの「工程表」を政府は示すべきです。
国会では復興基本法が民主、自民、公明などの手で成立させられようとしていますが、被災者の生活と地域の再建を保障したものではありません。1次補正では被災者への支援金支払いにも不足するのが明らかなのに、2次補正予算の見通しも立っていません。被災者支援と復旧・復興への政府の責任を果たすことが求められます。
党略的な政争は論外
民主党や自民、公明などが被災者と被災地をそっちのけで、不信任案だの「大連立」だのと、党略的な政争に明け暮れているのは論外です。大震災の被災者支援と原発事故の収束はどの党派であれ立場を超えて協力すべきです。
日本共産党は、被災者から寄せられている切実な要求実現に力を尽くすとともに、復興への希望がもてる施策の実現と、原発からの撤退を求めていきます。