2011年6月11日(土)「しんぶん赤旗」
「福島」が政策転換させた
独首相 原発の危険、制御不能
撤退法案を提出
ドイツのメルケル首相は9日、連邦議会(下院)で演説し、原子力発電から撤退し、代替として風力などの再生可能エネルギーに転換するとの政策について述べました。独政府は同日、関連8法案を提出しました。
メルケル氏は福島第1原子力発電所の事故が「私の原発への態度を変えた」と表明。事故は依然として深刻な状況が続いており、「日本のような技術力が高い国でも原子力の危険はコントロール不可能だ」と語りました。
ドイツが福島原発事故を引き起こしたのと同じような地震や津波の脅威にさらされているわけではないとしながら、同国の倫理委員会と原子力安全委員会の二つの諮問機関が原発維持の危険を検討した結論を受けて、政治的決断として原発から撤退すると強調しました。
これに対し、野党側が意見表明。社会民主党と90年連合・緑の党は基本的に支持を表明しました。左翼党は政府提案より早い2014年までの原発廃止を提案し、電力会社の公営化を主張しました。
政府提案では、旧式の原発7基と故障多発の1基の計8基を即時廃止し、残る9基については15、17、19年にそれぞれ1基、21、22年にそれぞれ3基閉鎖します。
代替エネルギー源として再生可能エネルギーに重点を置き、同エネルギーによる発電量の割合を現在の17%から、20年に35%、50年に80%まで引き上げます。また電力使用量を20年までに現在より10%減らすとしています。
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