2011年6月10日(金)「しんぶん赤旗」
34年までに原発全廃
新設も禁止 スイス下院が承認
ベルンからの報道によると、スイス国民議会(下院)は8日、国内にある全原発を順次廃止し、新たな原発も禁止する政府方針を賛成101、反対54、棄権36で承認しました。16日には上院での採決も予定されています。
スイス政府は福島原発事故後、国内にある5基の原発(うち1基はすでに停止)を耐用年数の切れる2034年までに廃止する新エネルギー戦略の基本を発表していました。
下院採決後、スイス緑の党のボイムレ議員は「福島事故で、原発の危険性が浮き彫りになり、継続できないことがはっきりした」と述べました。社会民主党のヌスバウマー議員は「原発からの撤退へ決定的な一歩だ」と評価しました。
スイス政府は、新たに評価された原発維持のリスク、新たな安全基準での稼働維持の費用や解体費用などを考慮すると、長期的には再生可能エネルギー利用が経済的にも原発に勝ると結論を出しています。
これに対し、スイスの経営者団体、エコノミースイスは、原発廃止はスイス経済に打撃をもたらすとして反対し、最終的には国民投票で決定すべきだと主張しています。
一方、バーゼルなどフランス国境に近い住民は、近くにあるフランスの旧式原発の廃止を求め、集会・デモを実施しています。 (片岡正明)