2011年6月10日(金)「しんぶん赤旗」
被災者不在の「修正」談合
復興基本法案には反対
志位委員長が表明
|
日本共産党の志位和夫委員長は9日、国会内での記者会見で、民主・自民・公明3党の復興基本法案への態度を問われて、被災者の生活再建に国が責任を持ち、上からの押し付けを許さないという大原則に反しているとして、反対する立場を表明しました。
志位氏はその第1の理由として、「一人ひとりの被災者の生活基盤を回復する」という復興の要となる理念が欠落していることをあげました。
志位氏は、3党案が復興の基本理念として「二十一世紀半ばにおける日本のあるべき姿を目指(す)」ことや「国境を越えた社会経済活動の進展への対応等」を掲げていることを指摘。「被災者の生活基盤の回復より、『新成長戦略』と称して進めてきた財界・大企業主導の政策が優先されている。本末転倒だ」とのべました。
第2点は復興の進め方で、上からの計画を押し付けようとしていることです。
志位氏は、復興計画は住民合意でつくり、実施は国と自治体が連携し、国は財政に責任を持つことが基本なのに、3党案では国が復興の「基本的な方針」を定め、地方自治体はこれを踏まえ「措置を講ずる責務を有する」という逆立ちしたものになっていると批判しました。
漁港を「集約化」し、株式会社を参入させるという「水産業復興特区」構想の押し付けに対し、宮城県漁協などが反対していることをあげ、「いたるところで矛盾ときしみを引き起こしている上からの押し付けを認めるわけにはいかない」とのべました。
第3点は、復興構想会議に法的なお墨付きを与えるものになっていることです。
志位氏は、同会議が議論の前から庶民増税を打ち出したり、上からのモデルを押し付けようとしてきた実態にふれながら、「こういうものにお墨付きを与えることに賛成できない」と強調しました。
その上で、3党による修正合意が、まさに首相不信任案をめぐり政争を繰り広げていた1日にひそかに行われた事実に言及。「一方では党略的な政争を演じながら、一方で被災者不在の『修正』談合をやって、国会での審議はまともにやらずに押し付けてくる。こういう非民主的なやり方も厳しく批判されなければならない」とのべました。