2011年6月9日(木)「しんぶん赤旗」
米国 7月にアフガン撤退
計画めぐり最終協議
世論「撤退すべきだ」73%
【ワシントン=小林俊哉】オバマ米大統領は、今年7月にアフガニスタン駐留米軍の「撤退過程」を開始すると公約しています。期限を間近に控え、ホワイトハウスは最終協議に入っています。
6日、ホワイトハウスでは、アフガン・パキスタン関係の安全保障担当者が集まり、会合を開きました。席上、ゲーツ国防長官が、アフガン情勢を報告。カーニー米大統領報道官は「撤退の規模、範囲、ペースについて、現場の状況に基づき判断する」(6日)と述べています。
オバマ政権のもとで3万人の増派を行った結果、現在の駐留規模は10万人に膨れ上がっています。米メディアは当初、7月の撤退規模は最大で5000人程度だと報じていました。
しかし、国際テロ組織アルカイダのウサマ・ビンラディン容疑者の殺害などの事態を受け、米政権内部で撤退数を増やすべきだとの声が強まっているとの指摘も出ています(ニューヨーク・タイムズ紙6日付)。
オバマ氏は今月中にもアフガン戦略について、国民向けに演説を行うと見られています。6日には、一部米テレビのインタビューに応じ、アフガンの安定化、ビンラディン容疑者の殺害、アルカイダ勢力の弱体化などを挙げ、「任務のかなりの部分を達成したことを認識すべきときだ」と述べています。
一方、近日中にオバマ氏に撤退計画を提言するゲーツ氏は、撤退規模について「穏当」であるべきだとして、大規模撤退には反対する構えです。
軍事的観点からだけでなく、厳しい財政事情のもと、年間1000億ドル(8兆円)を優に上回る戦費負担の是非も、撤退計画策定の上で、大きな検討事項となっているといわれます。
国民世論は、同戦争に依然として厳しい目を向けています。最新のワシントン・ポストとABCニュースの共同世論調査では、アフガン戦争にたたかう価値はないとの回答が54%で過半数。7月に撤退すべきだとの回答は73%と圧倒的多数に上りました。