2011年6月8日(水)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
「まだ1人分あいているけど、いいですか?」。町内の共産党後援会ニュースの読者にあずけていた、署名用紙を受け取りにいったときの話です▼「原発からの撤退を求める署名」。彼女は、老母と2人で暮らしています。5人書きの署名用紙に、母娘以外の2人の名前も記されていました。知り合いに声をかけて、賛同を広げてくれていたのです▼町内の世話役にあずけていた署名用紙は、5人分すべてが埋まっていました。彼女の一家全員にとどまりません。ほかに、彼女が近所で署名をよびかけ応じてもらっていた人の中には、意外にもある党の、地域の有力者もいました▼地域支部の党員は、町内会の役員宅に署名を勧めに行きました。役員さんは、「隣の人にも書いてもらうから、あずかっておくよ」。後日、隣の一家の名前も入った用紙を、党員宅に届けてくれました▼「もう、ここまでくると原発には頼れない」「原発なしで電力は大丈夫?」。そんな声を聞き、議論も交わしながらの署名集め。そうこうしているうちにも、福島第1原発の事故のひどさが次々と明るみにでます。1号機の炉心は、すでに地震発生から5時間後、溶けてしまっていた…。いまごろになっての発表です▼ある人はいいます。「日本はどうなる」。政府や電力会社の頼りなさ、いいかげんさに国の行方を重ねてみています。いくら心配でも、市民が原発に乗り込み復旧作業を手伝うわけにはいきません。しかし、原発をなくす運動には誰もが参加できます。