2011年6月8日(水)「しんぶん赤旗」
保安院独立など検討
原発事故 政府がIAEAへ報告書
東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)事故で政府の原子力災害対策本部は7日、「大規模な津波の襲来に対する想定と対応が十分ではなかった。原子力安全対策の根本的な見直しが不可避」などとする報告書を国際原子力機関(IAEA)に提出しました。20日からウィーンで開かれる閣僚会議で討議されます。
報告書は13章に分かれ、冒頭で「世界の人々に放射性物質の放出について不安を与える結果になった」と謝罪しています。そのうえで、1〜3号機では炉心溶融(メルトダウン)によって圧力容器が壊れ、燃料の一部が格納容器の下部に堆積している可能性があることなど、事故の経緯を説明。事故発生から6日間で同原発から77万テラベクレルの放射能が放出されたとする推定値を示しました。
続いて、事故から得られた教訓として、地震・津波対策の強化や電源の確保、水素爆発防止対策の強化など28項目を列挙しました。特に、津波については今回の事故の最大要因だったとして、「津波のリスクを十分考慮して対策を講じる」とのべています。
これまで国と電力会社は、過酷事故(シビアアクシデント)について「わが国では起こりえない」などとして備えてきませんでしたが、「今回の事故はシビアアクシデント」との認識を表明。各電力会社に過酷事故対策を法的に義務付けていくとしています。
さらに、事故の調査に入ったIAEAの調査団からも指摘を受けた原子力規制行政の問題点について、経済産業省から原子力安全・保安院を切り離して独立させるほか、原子力安全委員会も含め、体制の見直しの検討に着手するとしています。
国際原子力機関(IAEA) 原子力の平和利用促進と軍事的利用への転用の防止を目的として1957年に発足した国際機関。原発を推進する立場で、安全上の基準を設定しています。本部はウィーン。
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