2011年6月6日(月)「しんぶん赤旗」
「国家に忠誠」もくろむ教科書
憲法と相いれない “実態知らせ採択阻止を”
都内でシンポ
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子どもと教科書全国ネット21などの呼びかけによる第24回教科書を考えるシンポジウムが5日、東京都内で開かれました。
教師、出版関係者、研究者、市民ら約60人が参加し、来年度から使われる新しい中学校教科書について検討しました。
科学教育研究協議会の小川郁さんは、理科教科書について生物分野を中心に報告。教科書の記述のもとになる学習指導要領に多くの問題があると指摘しました。
具体例として、新指導要領で無脊椎動物の扱いが復活したものの、動物体内での物質の変化を化学変化として教えようという視点がなく、とくにたんぱく質の扱いが軽視されていることなどを説明しました。
全国民主主義教育研究会の沖村民雄さんらは、侵略戦争美化勢力がつくった自由社と育鵬社の公民教科書について報告。両社の教科書は国家を優先し、国家に忠誠を尽くす人間を育てようとしているとし、「個人の尊厳を社会の成り立ちの根本に置くことが近代立憲主義の普遍的原理。この教科書は憲法の理念と相いれない」とのべました。
討論では、自由社・育鵬社の教科書を採択させないため、教科書の実態を知らせよう、現場教師の意見を採択に反映させようと話し合いました。
出版労連の吉田典裕さんが「教科書検定と原発」について報告。原子力発電所の安全性を強調する検定が行われてきたこと、電力業界が教科書編集者らを「見学」として接待してきたことなどを語りました。
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