2011年6月6日(月)「しんぶん赤旗」

極貧は宿命ではない

撲滅 3年後めざす

ブラジル 家族手当もっと・小規模農家を支援


 ブラジル政府は2日、貧困世帯向け家族手当の拡充や地方の小規模農家への支援強化などを通じて、2014年までに極貧層をなくすことを目標にした計画「貧困のないブラジル」を発表しました。ルセフ大統領は同日の記者会見で、「貧困は宿命ではない。撲滅へ国が積極的な役割を果たす」と決意を語りました。(島田峰隆)


 「14年までにこの計画の目標を達成できれば、ブラジルは国連ミレニアム開発目標(MDG)を達成する最初の途上国となる」―カンペロ社会開発・飢餓対策相は同日、メディアとの会見でこう強調しました。

 MDGは、1990年比で15年までに、1日1ドル未満で暮らす極貧層、飢餓人口をそれぞれ半減することを第一の目標に掲げています。

 今回の計画の対象となるのは、月70レアル(約3600円)未満の収入しかない極貧層約1600万人。前政権が充実させた貧困世帯向け家族手当「ボルサ・ファミリア」の受給基準をさらに緩和して、80万世帯を新たに支援対象とすることや、半年ごとに支給される国の補助金を受け取る地方の小規模農家の数を4倍に増やすことなどを挙げています。

 政府の統計によると、極貧層の半数以上が20歳以下であることから、教育費の融資制度や職業訓練コースの確立なども打ち出しています。

 対象者の多くは、極貧層が集中する北東部に住む人々です。この中には、地理的に不便だったり、住民登録がされていないことから、これまで国の支援策を十分に受けられなかった人々が多くいます。

 カンペロ氏は、「新計画の考え方は、貧困層が支援を国に求めてやって来るのではなく、貧困な人がいるところに国が出かけていくようにする点にある」と説明しました。

 ブラジルでは、昨年の実質国内総生産(GDP)成長率が7・5%となるなど好景気が続いています。一方で根強く残る貧困と貧富の格差の解決が課題とされ、今年1月に発足したルセフ政権は貧困撲滅を最大公約の一つに掲げています。





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