2011年6月6日(月)「しんぶん赤旗」
きょうの潮流
八百長と聞くと、大相撲のことを真っ先に思い浮かべてしまいます。2日には名古屋場所の通常開催が決まり、改革の道を歩みだしたばかり。一方、世界に目を転じると、サッカーの八百長が相次ぎ発覚し、ショックが広がっています▼それは韓国とイタリアのプロリーグでのこと。とくに深刻なのは韓国で、すでに複数の選手が逮捕され、今後も拡大の様相を呈しています。暴力団とのかかわりも捜査中で、自殺した選手も出る痛ましさ。隣国の出来事とはいえ、人ごととかたづけられない事情もあります▼韓国の八百長は、日本と同様のサッカーくじが、その舞台となっているからです。韓国のスポーツくじは、日本と同じ10年前にスタート。試合結果などを当てるもので、八百長を仕組んだブローカーは、結果を操作するため、ゴールキーパーらを買収していました▼日本も、売り上げをスポーツ振興に回すとして、その導入が議論された当時、推進側は「サッカーくじで八百長を仕組むのは至難の技」と強弁していました。しかし、それは“安全神話”にすぎなかった▼日本のくじの導入を後押しし、監督しているのは文部科学省です。一方で大相撲の八百長問題を厳しく「指導」しながら、もう一方で八百長を「誘導」するに等しい行為。なんとも、理屈に合いません▼八百長はスポーツの死。こんな事態を招いてからでは遅い。韓国のリーグは事件後、サッカーくじの中止を求めています。隣国の不幸な出来事を他山の石としなければ。