2011年6月5日(日)「しんぶん赤旗」
独が原発廃止工程
1基ずつ時期を明示
撤退から後戻りなし
ドイツのメルケル首相は3日、国内16の州(特別市を含む)の首相らと原発からの撤退政策について協議し、各原発の廃止年を明確化し、段階的に原子炉を廃止していくことで合意しました。最後の原発の廃止時期は与党側提案の2022年と変わりませんが、メルケル首相は協議後の記者会見で「この合意により、原発撤退からの後戻りという選択肢はないことが明確になった」と強調しました。
州首相には野党の社会民主党や90年連合・緑の党も含まれ、メルケル政権与党が多数を握る連邦議会(下院)に加え、州政府代表でつくる連邦参議院(上院、野党が多数)でも原発撤退政策が合意するのはほぼ確実な状況です。
メルケル政権の与党、キリスト教民主・社会同盟と自由民主党は5月30日に2022年までに原発を廃止することで合意していましたが、野党側は大手電力会社の圧力などで原発撤退が後戻りすることのないように、原発ごとの廃止時期の明示を要求していました。
合意によると、原発17基のうち福島原発事故後の安全点検で稼働停止となった7基と、故障続きで稼働を停止している1基はこのまま廃炉。さらに稼働年数を最大32年とし、15年に1基、17年に1基、19年に1基、21年に3基、22年に3基と段階的に廃炉を進めます。
一方、電源不足への対応として13年までは旧式原発1基を再稼働可能状態に保つことでは一致しませんでした。メルケル政権は6日に、原発撤退とエネルギー転換計画、関連法案を閣議決定し、17日から上下両院の審議にかける意向です。
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