2011年6月5日(日)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 6月を「水無月(みなづき)」とする暦に、違和感を覚える人は多いでしょう。水の多い雨期なのに、水が無いとは?▼もともと旧暦6月の呼び名ですが、いまは新暦6月に「水無月」と記すカレンダーが少なくありません。旧暦でも、今年の場合は新暦7月1日が旧暦6月1日にあたります。やはり、梅雨がまだ続く雨期には違いありません▼文字通り水の無い月と考える説は、季節の変化に着目します。やがて梅雨が終わり、水もかれる月です。対して、いま有力な説は、「水無月」実は「水の月」と考えます。田植えも終わり田ごとに水が注がれる月だった、と▼「無」は「な」の当て字で本来は「の」の意味、というわけです。「水の月」なら、梅雨どきの新暦6月でも違和感はありません。しかし、今年6月の水の風景はどうでしょう。やはり、被災地のようすが思い浮かびます▼大地震と大津波で水に没してしまい、田植えのできない田んぼ。地盤が落ち込み、雨がふったり潮が満ちてきたりすれば、水浸しとなる街。それだけではありません。福島第1原発のあちこちにたまる、高濃度の放射能に汚染された水があふれかねません。雨が、流出の危険を大きくしています▼「六月(みなづき)の土さへ割(さ)けて照る日にもわが袖(そで)乾(ひ)めや君に逢(あ)はずして」。万葉集の一首です。雨があがっても、愛する人に会えないから袖を涙でぬらすばかり、と歌っているのでしょうか。被災した人々に、涙に暮れなくていい日々が一日も早く戻るよう、願わずにはおられません。





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