2011年6月3日(金)「しんぶん赤旗」
原発国民投票へ
イタリアの最高裁決定
復活の是非問う
イタリアの破毀院(最高裁)は1日、原発復活の是非を問う国民投票を予定通り今月12、13日に実施すべきだと決定しました。福島第1原発事故を受け、ベルルスコーニ政権は国民投票の回避を狙って原発復活計画を無期限凍結する法律を5月に成立させていましたが、破毀院は最終的な決着を民意に委ねました。
イタリアからの報道によると、国民投票の実施を要求してきた野党や反核団体はいっせいに破毀院の決定を歓迎。最大野党・民主党のベルサニ書記長は「すばらしい決定だ」と述べ、国民投票成立の要件である投票率50%以上の動員と「原発復活反対」の勝利を確保するため、10日にローマで大規模な反原発集会を行うことを呼び掛けました。
イタリアでは旧ソ連チェルノブイリ原発事故後、1987年の国民投票で脱原発を決定し、90年までに原発を全廃。しかしベルルスコーニ政権が3年前にその方針を転換し、2013年から4カ所で原発建設に着手する計画を発表していました。同政権は、福島原発事故の直後に、この復活計画の「1年間凍結」を決定。しかし、世論調査で75%が「原発反対」を表明するなか、国民の反原発意識が和らぐまでの時間稼ぎ目的で、改めて「無期限凍結」を打ち出していました。
しかし、5月中旬に行われたサルデーニャ州の住民投票では、原発反対が97%に達するなど、国民の意識に変化の気配はありません。国民投票で87年の「全廃」に続き、改めて原発が拒否されると、将来の復活への道はほぼ断たれるとみられます。