2011年6月2日(木)「しんぶん赤旗」

自公の不信任案提出の不可解

実は「大連立」狙い?

国民・被災地不在 浮き彫り


 衆院での内閣不信任決議案提出へ動きを急にした自民、公明両党―。しかし、「強硬」なポーズの一方で、「否決されれば信任になる。菅首相の延命になりかねない」など、両党内からも「不可解」という声が漏れてきます。

 自民党議員の一人は「小沢グループの『造反』への追随が出てきて、不信任案可決の見通しがあるというから急ぐのだろうが、具体的にどの程度の可能性かはわからない」と述べます。公明党議員の一人も「不信任案『可決』の見通しは、『薄い』どころかゼロに近い。どうして急ぐのか正直わからない」とし、「このままでは菅さんの長期政権になり、次の選挙までということになりかねず、小沢さんたちが『造反』するというなら、石を投げて動かしてみよう、という程度のこと」と述べます。

再交渉

 これに対し、民主党中堅幹部議員の一人は、不信任案否決→造反・棄権した小沢グループ所属議員などの除名→政局の行き詰まりの中での首相交代と「大連立」再交渉――という見通しを述べます。

 「不信任案を否決したうえで、小沢グループを一掃(除名)してすっきりする。その先は、菅さんに辞めてもらって『大連立』に行く可能性はおおいにある。自民・公明は、さらに参院で問責決議を出すなどして政局は行き詰まるが、そこで野党側から具体的な提案が出てくれば民主党内で話し合いになる。ただ『降ろせ降ろせ』と言っているだけではダメなんだ」。こう中堅幹部議員はいいます。

 前出の自民党議員も、「この前(3月末)の『大連立』騒動が失敗したのは、菅首相の継続が前提だったから。菅がやめて首相が交代すれば大連立は可能」と言い切ります。同党の大島理森副総裁は「あなたが辞めれば新しい政治体制の準備はある」と5月31日の衆院復興特別委員会で菅直人首相に迫っていました。

警戒も

 「大連立」の動きに批判的な民主党関係者は、「小沢を切り離せば、菅降しもただの『権力闘争』『党内政局』には見えなくなる。小沢がいなくなれば、公明もウチ(民主)と組みやすくなる。不信任案は小沢グループの分裂を誘い、大連立につなげる第一ステージ」と警戒します。

 しかし、内閣不信任案をめぐって対立した与野党が「大連立」交渉に入るという見通しも、国民の目から見ればやはり全く不可解。国民不在、被災地不在の政局の動きに国民の怒りは強まるばかりです。(中祖寅一)





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