2011年6月1日(水)「しんぶん赤旗」
自民の選挙制度改革案
狙いは比例削減 議席独占狙う
自民党が今国会に、衆院小選挙区定数を現在の300から5削減し295とする公職選挙法改定案を提出しようとしています。表向きは「1票の格差」是正を理由にした小選挙区定数のわずかな削減ですが、狙いは比例定数の大幅な削減です。
改定案は、党政治改革実行本部の細田博之本部長が13日に取りまとめた「衆院選挙制度改革案」の一部です。
細田案は、小選挙区「改革」とともに、衆院比例区の定数について現行の180から150へ30削減するもの。公選法改定案では「比例削減」部分を切り離していますが、その狙いが比例定数削減にあることが明確になりました。
民主党は「衆院比例定数80削減」を掲げ、同党政治改革推進本部で議論を進めています。同党が震災と原発危機への対応をめぐり強い国民的批判を浴び、自民党も原発建設を推進してきた歴史的責任が問われています。にもかかわらず、これらの「二大政党」が日本共産党をはじめとする少数政党を議会から締め出し、議席を独占しようという動きです。
細田案は、30削減した150の比例区定数を、これまでどおりの「単純政党別当選議員」120人の枠と、得票率20%未満の少数政党の比例議員30人枠とで構成するとし、「少数政党に有利」な仕組みであるとしています。
少数政党分断する「狙い」も
しかし、30人枠を11ブロックに分ける結果、定数30を少数政党に「平等」に比例配分することにはならず、少数政党の中で相対多数の政党に有利な結果となります。
前回の選挙の結果でみれば、定数が5や4のブロックでは日本共産党や社民党にも議席配分がありますが、定数1、2のブロックでは公明、みんな両党だけが議席を獲得することになります。これでは、得票に応じた比例的な議席配分という比例代表制度の民主的性格をゆがめることになります。比例削減に反対する少数政党を分断する「狙い」も透けて見えます。
また、得票率21%の政党と得票率19%の政党で、獲得議席が逆転するという明らかな不合理も生じる仕組みとなっています。
「比例定数削減」に反対してきた公明党は、この間、細田案に対しても「比例を減らすことには反対」としています。他方、26日に民主、自民、公明各党の有志議員らで結成した「日本の復興と再生を実現する議員連盟」は、「エネルギー政策、経済政策、さらには政治制度」の3課題に取り組むとしており、「政治制度」をめぐって3党間で選挙制度についての政策論議が進む可能性も含んでいます。