2011年5月30日(月)「しんぶん赤旗」
ドイツ 21都市で16万人デモ
全原発停止・廃炉に
ドイツ各地の21都市で28日、国内にある17基の原発すべての廃炉を求めるデモが行われ、ドイツ公共第1テレビ(ARD)によると16万人以上が参加しました。環境保護団体、労働組合、野党などが、「すべての原発をただちに停止し廃炉へ」と呼び掛けたものです。(片岡正明)
首都ベルリンとミュンヘンでそれぞれ2万5000人、ハノーバーで1万2000人、ボンで7500人、ハンブルクで5500人が参加するなど、主要都市で大きなデモとなりました。
ドイツでは、政府諮問機関の倫理委員会が2021年までの廃炉を勧告するなど、原発からの段階的撤退を決める方向で検討が進んでいます。この日のデモは「政府に対して国民の意思に沿った決定を求める大きな圧力」(ドイツ労働総同盟=DGB)となりました。
最大規模のデモとなったベルリンでは、市民が「廃炉しかない」「フクシマ(原発事故)はここでも起こりうる」などの横断幕を掲げて行進。ベルリン・ブランデンブルク放送のニュースによると、家族連れや青年の姿が多く見受けられました。ポツダムから娘と孫の3世代で来たというウテ・ヘルマンさんは「家族の命が大切だ。政府は経済成長を語る前に、国民の命を大切にすべきだ」と語りました。
ドイツのメルケル政権は、福島原発事故後、原発稼働延長計画を凍結。6月初めの各州首相と政府のトップ会談を経て、当面、何基の原発を廃炉とし、最終的に何年までに原発全廃を実現するのかを示す法案を提出する準備をしています。
電力会社は、原発から再生可能エネルギーに転換すると「中期的には電力のコストが少なくとも2倍、悪くすると8倍になる」と早期の原発撤退を批判。与党の一角、自由民主党も「急過ぎるエネルギー転換には反対する」立場です。
これに対し、各地のデモに参加した左翼党は、原発の2014年までの完全停止と原発からのエネルギー転換にかかる費用を電力会社が負担することを要求。90年連合・緑の党は2017年までの原発撤退を求めています。
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