2011年5月30日(月)「しんぶん赤旗」
米監査院報告で米軍再編費2兆3000億円
米議会で計画見直しも
米議会の調査機関である米政府監査院(GAO)が25日発表した報告書は、在日米軍再編計画の費用総額が約291億ドル(約2兆3571億円、1ドル=81円で計算)以上に達することを明らかにしました。11日に計画の見直しを提言していた米上院軍事委員会のレビン委員長らは26日、「報告書は(われわれの)提言に合致している」との声明を発表。米議会で計画見直しの機運が高まるのは必至の情勢です。
普天間基地無条件撤去こそ
見積もりを暴露
GAOの報告書は、日本政府が2006年10月に行った再編費用の予算見積もりについて、在日米軍から詳細な情報提供を受けたと指摘。それによると、在沖縄米海兵隊のグアム移転費とは別に、日本国内の再編で日本側負担は07〜14年度で計約98億ドル(06年当時のレート1ドル=111円で約1兆878億円)に上ることを明らかにしました。
同時に、その内訳として、沖縄の米海兵隊普天間基地(宜野湾市)に代わる新基地建設(名護市辺野古)に約36億ドル(約3996億円)もの費用がかかることを示しました。
費用増大の危険
報告書は、再編費用がいっそう膨らむ可能性も強調しています。
例えば、在日米軍などの情報として、日本政府が国内での米軍再編に伴い、住宅など新たな施設建設を行うことに同意していると指摘。沖縄だけで321棟の建物と573戸の住宅をつくることになるとしています。
また、米国防総省当局者が東日本大震災の影響で、アジアで原材料費と労務費が増大する可能性があると見ていることも指摘しています。
報告書は、グアム移転で日米両政府が06年に合意した費用約103億ドル(日本側約61億ドル、米側約42億ドル)のほか、米海兵隊が、米側負担として新たに約71億ドルもの追加費用が必要になると試算していることも明らかにしました。
追加負担の内訳は、(1)施設建設費約47億ドル(2)電気や水道などユーティリティ費や労務費、装備品調達費約24億ドル―とされています。
さらに、グアム移転に伴って北マリアナ諸島に訓練場を建設する必要があり、米海兵隊は約19億ドル以上の費用を見積もっていることを指摘しています。
議員提言に呼応
レビン委員長らの提言は、現行の再編計画について「非現実的で実行不可能であり、費用もかかりすぎる」と批判し、普天間基地の辺野古「移設」の代わりに米空軍嘉手納基地(嘉手納町など)への統合を検討するよう主張。グアム移転も計画の規模縮小を求めています。
今回の報告書は、現行の再編計画が日本国民の血税を浪費する巨大な無駄遣いであることを示す一方、米政府に代替案の提示を求めるなど、レビン氏らの提言に呼応し、それを後押しするものとなっています。
「普天間基地の県内移設反対」が県民総意の沖縄では、レビン氏らが提言した嘉手納基地統合案に大きな怒りが広がっています。今こそ普天間基地の無条件撤去の世論と運動を大きく広げる必要があります。(榎本好孝)
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