2011年5月29日(日)「しんぶん赤旗」
公営住宅避難者に食事
厚労省“救助法で支給可能”
自治体での具体化急務
東日本大震災・原発事故の避難所になっている公営住宅などで暮らす被災者に対し、災害救助法にもとづく食事の支給が可能なことがわかりました。厚生労働省が本紙の取材に回答しました。支給の対象者は首都圏だけで少なくとも5千人以上にのぼりますが、いずれも現在は支給を受けていません。各自治体で弁当の配達など支援の具体化が急がれます。
本紙に回答
食事支給が可能と確認されたのは、避難所として被災者が入居する県営・都営住宅や、市町村営住宅、公務員宿舎などです。
原発被災者約2万人が避難するといわれる首都圏では、災害救助法の適用を受ける東京、茨城、千葉、栃木の4都県が、公営住宅など計約1500戸(判明分)を避難所にしています。
災害救助法は避難所での炊き出しや食品の支給を定めており、国の一般基準で1人1日1010円分の食事を支給できます。
都営住宅などに被災者約3500人が入居する東京都は、支給しない理由を「住宅に炊事施設があるので必要ない」などと弁明。福島県大熊町から避難し都営住宅で暮らす男性(56)は「収入がないのに、食費などがかさんで貯蓄が尽きてしまう」と訴えます。
厚生労働省災害救助・救援対策室は、「公営住宅とはいえ、避難所なので自治体の判断で食事を出してほしい。災害救助の経費として扱う」と説明。さらに岩手、宮城、福島の3県で食費基準を1人1日1500円に増やしたのと同様に、「物価の高い東京都でも実態に即して食費の引き上げが可能だ」としています。
また、避難者を公営住宅に入居させながら災害救助法が適用されていない神奈川県などでも、「東北3県からの応援要請を受けて、災害救助法にもとづく支援が可能か厚労省と協議している」(神奈川県住宅計画課)といいます。