2011年5月26日(木)「しんぶん赤旗」
衆院大震災復興特委・参考人質疑
原発 被害の全面賠償を 塩川氏
参考人 国の対応、迅速さ非常に乏しい
日本共産党の塩川鉄也議員は25日午前の衆院東日本大震災復興特別委員会で参考人に福島原発事故の被害に関連して質問しました。
塩川氏は、東京電力に全面賠償を求める立場から、原発事故がなければあったであろう事業者の収入と現実の収入との差額をすべて補償することが必要だと指摘。風評被害も補償に加え、勝手な線引きをさせないことについて尋ねました。
福島県商工会議所の瀬谷俊雄会長は「いまの原子力損害賠償法で想定される事故のスケールではない」と特別の対応を要望。同県農業協同組合中央会の庄條徳一会長は「線など引かずに我々が申請するものに補償願いたい」と述べました。
茨城県商工会連合会の外山崇行会長は国の対応について「迅速さが非常に乏しい」と指摘。同県農業協同組合中央会の成田治彦常務理事は賠償について「まずはスピードだ」と怒りをこめました。茨城沿海地区漁業協同組合連合会の今橋一也専務理事は「『風評被害』を必ず入れてほしい」と求めました。
また、塩川氏が海の放射能汚染の計測体制について課題を問うと、今橋氏が、漁業者には魚の検査をして暫定規制値を超えた場合、他の業者にも迷惑がかかるという思いもあり混乱していると述べ、「国の明確な指示と指導を」と国の責任ある対応を求めました。
農漁業 基盤戻してこそ 高橋氏
参考人 「水産特区」全員一致で反対
日本共産党の高橋ちづ子議員は25日午後、衆院東日本大震災復興特別委員会の参考人質疑で、青森、岩手、宮城3県の農漁業関係者に質問しました。
高橋氏は、津波がもたらした農業被害の現状について質問。岩手県農協の長澤壽一中央会会長は、震災にもかかわらず県内の調整で稲作をまかなっていると答弁。宮城県農協の菅原章夫中央会副会長は、海水だけでなくガレキやヘドロをかぶった深刻な被災状況を訴えるとともに、県内調整できない残りは県外調整で作付けすると答えました。
漁業者に対して高橋氏は、「みなさんの生産基盤を戻してこそ被災地の復興につながる」と強調。岩手県漁協組合連合会の大井誠治代表理事会長は、「養殖業者は再開してもこの先3〜4年収入がない。港の受け入れ態勢が整わないと魚をとっても半値になってしまう」と訴えました。
宮城県漁協の木村稔経営管理委員会会長は、村井嘉浩宮城県知事が示した、港の集約化と企業参入を進める「水産業復興特区」構想について「われわれに一言もなく出した。ばかにするなといいたい。漁業者は全員一致で反対だ」と表明しました。
高橋氏は、農産物の全面的自由化を招くTPP(環太平洋連携協定)交渉の参加について、「震災で食料の大切さを改めて知ったなかでTPPには入るべきではない」と主張。青森県の工藤信農協中央会会長も、「TPPは日本を崩壊させると訴えてきた。断固反対することは日本の食料を守ることにつながる」と述べ、与野党の議員から大きな拍手を受けました。