2011年5月25日(水)「しんぶん赤旗」

あす 全国革新懇結成30周年

復興・救援 力合わせて


 平和・民主主義・生活向上の三つの共同目標にもとづく政治革新と、そのための国民多数派の形成をめざす全国革新懇が結成されて26日で30周年。地域、職場、青年革新懇は800を超え、草の根から政治革新の運動を発展させる存在となっています。困難を抱えながらも、住民本位の復興へと動きだす東日本大震災被災地の革新懇、救援活動や防災に強いまちづくりにとりくむ革新懇を訪ねました。(高柳幸雄)


生活再建の会結成

釜石 避難所でアンケート

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(写真)路肩にがれきが積まれたままの市街地=19日、釜石市

 「仮設住宅に入れても、その後行くところがない。生まれ育った地域に公営住宅を建ててほしい」「新日鉄の遊休地を市民に安く払い下げて、住宅用地にしたらどうか」「アワビ・ウニ漁に出られる小型船をつくってほしい」…。

 岩手県釜石市や大槌町の被災者が身を寄せる避難所の一つ、同県花巻市の温泉旅館の一室で21日、今後の生活再建などを話し合う懇談会が開かれ、地元自治体や国への要望・提案が相次ぎました。

 呼びかけたのは、釜石地域革新懇事務局長の前川慧一さん(73)。釜石市内の自宅が津波で流失・全壊しました。震災翌日から同市内の小学校体育館で避難生活を送り、5月から妻と一緒に温泉旅館に移り住んでいます。

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(写真)前川慧一さん

 懇談会には同じ旅館に避難している約60人のうち32人が集い、前川さんが用意したアンケート用紙に今後の悩みをつづりました。要望のトップは「安心して住める土地の確保」。次いで「仮設住宅に早く入居させてほしい」でした。

 「震災から2カ月。政府の復興構想会議などでは『上からの復興』論がいろいろ叫ばれていますが、大事なのは被災者・被災地の実情に即した復興、住民合意の復興です」と力説する前川さん。アンケート結果などを釜石市に届け、まちづくりに生かそうとしています。今月12日から市も被災地区住民を対象に「新たなまちづくりに向けた懇談会」を開きました。

 住民とともに歩む姿は、釜石地域革新懇の一貫した精神の表れです。前川さん自身、最初に避難した小学校体育館で被災者から聞き取った声を「要望書」としてまとめ釜石市や県に要請。120人を超える被災者の賛同を得て、「東日本大震災被災者の生活再建をめざす釜石・大槌の会」を結成しました。

 釜石市では巨大な「湾口防波堤」が津波で破壊され、地域の個人病院も全壊・流失しました。釜石地域革新懇は、これまでの市の災害対策の検証や地域医療の実態調査を進めようとしています。

 「公共施設は被災を受けていま住民が集まれる状況ではありません。でも、秋ごろには何とか釜石地域革新懇として『福祉と防災に強いまちづくり』のシンポジウムを開けたらと思います」(前川さん)

青空市で物資配る

多賀城 住宅街で4月から

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(写真)青空市で支援物資を配布する共同センターの人たち=11日、多賀城市大代地区

 津波による浸水被害がいまだ生々しく残る宮城県多賀城市では、「東日本大震災多賀城共同支援センター」が全国から寄せられた支援物資を「青空市」として配布しています。

 同センターは、地域革新懇「くらしと民主主義、史跡・緑を守る多賀城懇話会」、新婦人、年金者組合、坂総合病院友の会、日本共産党市議団で結成。代表は多賀城懇話会代表世話人の大村武平さん(73)=歯科医師=が務めます。同懇話会事務局長の阿部長喜さん(70)は、「活動するなかで、支援物資の配布をはじめ、被災者に対する行政の支援が細かに行き渡っていないことがわかりました。国民的共同を進める革新懇として、多くの団体と力をあわせて何かできないかと思って」と語ります。

 津波で損壊した家が目立つ住宅街の駐車場で4月から開いてきた「青空市」には、米、野菜、肌着、日用品などを求めて多くの人が訪れ、「本当にありがたい」と喜ばれています。回数を重ねるごとにボランティアも増えています。今後、仮設住宅入居者への物資配布も検討しています。

災害に強い街づくり

湯河原 被災者受け入れ

 大震災と原発事故を受け全国の地域、職場、青年革新懇は救援・募金活動や原発問題を考える学習会、災害に強いまちづくりなどに取り組んでいます。

 神奈川・湯河原革新懇は旅館協同組合長と懇談。震災以降、客のキャンセルが続き、旅館業者と関連業種の人たちが「このままでは町がつぶれてしまう」と窮状を訴えていることを聞きました。

 これを受け湯河原革新懇は町長に対し、(1)震災と原発事故の被災者を町内の温泉旅館などで受け入れること(2)放射能問題で測定回数を増やすこと(3)最悪の事態も想定して防災計画を見直すことなどを申し入れました。町も検討し、いま、被災者を旅館に受け入れています。湯河原革新懇は6月4日、地域の活性化と住みよいまちづくりをテーマに長野県木曽町の田中勝己町長を迎えた講演会を予定。周辺自治体首長や議員、行政幹部に参加を呼びかけています。


 全国革新懇の三つの共同目標 (1)日本の経済を国民本位に転換し、暮らしが豊かになる日本をめざす(2)日本国憲法を生かし、自由と人権、民主主義が発展する日本をめざす(3)日米安保条約をなくし、非核・非同盟・中立の平和な日本をめざす。





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