2011年5月24日(火)「しんぶん赤旗」
日航不当解雇撤回裁判
「傷病理由」は安全脅かす
教官機長「病気申告しにくく」
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日本航空に不当解雇撤回を求める裁判は23日、パイロットの第3回口頭弁論が東京地裁(渡邉弘裁判長)でおこなわれました。鎌倉俊広機長(54)が意見陳述し、病気を申告しにくい状況は安全を脅かすと訴えました。
鎌倉さんは、機長昇格訓練などを担当する「教官機長」を約10年務め、国に代わって機長資格を審査する「査察機長」の国家資格を昨年9月に取得した直後に仕事を外されました。
傷病で乗務機種の運航で2〜3%にあたる徹夜フライトが制限されていましたが、教官の仕事のため、徹夜フライトをする機会はほとんどありませんでした。「実際は遜色(そんしょく)なく乗務していた。理不尽としかいいようのない解雇だ」と強調しました。
1982年の羽田沖事故の原因が、機長の身体的変調だったことを指摘し、傷病による解雇は「事故の貴重な教訓を葬り、国民の望む安全・安心の航空会社としての再生に背を向ける」と訴えました。
また稲盛和夫日航会長が雑誌インタビューで、「利益を出して余裕がなければ安全を担保できるわけがない」と発言していることについて、「『利益第一』ともいえる考え方が、公共交通機関の安全を損なう」と批判しました。
この日の口頭弁論には、日航の現役パイロットや全日空のパイロットも支援に駆けつけました。