2011年5月21日(土)「しんぶん赤旗」
内部被曝
“健康に影響大きい”
衆院委参考人質疑 危惧の声次々
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衆院科学技術特別委員会は20日、福島第1原発事故に関連して、放射線が健康に与える影響についての参考人質疑を実施しました。
琉球大学の矢ヶ崎克馬名誉教授は、放射性物質が体内で引き起こす内部被曝(ひばく)の影響は外部被曝よりもはるかに高いと指摘。崎山比早子・元放射線医学総合研究所主任研究官は、被曝線量に比例して発ガン率が高くなるという見解は、国連科学委員会も採用する国際的合意だと指摘。「放射線に安全量はない」と述べました。
一方、原子力安全委員会の久住静代委員は、年間100ミリシーベルト以下では被曝直後に健康上の影響は出ず、将来のがん死亡率上昇も0・5%程度で、発がん性への影響は「検出できない」と述べました。
これに対し矢ヶ崎氏は、校庭での年間20ミリシーベルトという基準値は「とんでもない数字」だと発言。崎山氏も、子どもが20ミリシーベルトも浴びれば、発がん年齢を早める可能性があり、がん死亡率0・5%上昇は“大したことない”との議論は「論外だ」と批判しました。
日本共産党の吉井英勝議員は、炉心溶融で放出されたさまざまな放射性物質の核種ごとの線量を定点観測すべきだと指摘。中部大学の武田邦彦教授は、プルトニウムなど重要な核種の測定値を明らかにしない政府は、「被曝する人のことを全く考えていない」と批判し、矢ヶ崎氏は、核種ごとの粒子の大きさと分布など内部被曝調査の重要なデータを公開すべきだと述べました。