2011年5月21日(土)「しんぶん赤旗」
原発作業員の健康に国は責任を
東電 内部被ばく量測らず作業
7400人中、把握は40人
参院予算委 田村議員が追及
日本共産党の田村智子議員は20日、参院予算委員会集中審議で質問に立ち、東京電力福島第1原子力発電所で事故収束にむけて作業する労働者が内部被ばく量を測定せずに働かされている実態を示し、作業員の命と健康を守るために国が責任を果たすよう求めました。
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田村氏は、「食事をとっていた場所も後から放射能汚染があったと知らされた」「内部被ばくをしていると思うが、検査について何も声がかからない」との痛切な声を紹介。内部被ばく量を計測した人数などについてただしました。
東京電力の武藤栄副社長は、作業員7400人(16日現在)中、測定したのは1400人、被ばく量が判明したのは40人しかいない実態を明らかにしました。原発近くにある全身測定装置(ホールボディーカウンター)がわずか2台しかないと答弁し、残りの作業員の測定だけでも今後2カ月かかると述べました。
田村氏は、作業員の3分の2は東電社員でないのに、東電は作業にかかわった事業者数さえ把握していないと指摘。「すでに現場を離れた労働者もいる。水素爆発から2カ月以上が経過して、いまだに内部被ばく量を把握する体制がないのはあまりにも無責任だ」と批判しました。
武藤氏は、「労働安全の確保は最優先だ」とのべ、「12台以上の全身測定装置を用意し、できるだけ早く測定する」と答えました。
田村氏は、派遣労働者が、今後、健康被害が起きても事業者の責任を問わないとする「被ばく承諾書」にサインさせられていたとの報道を示し、「法律に反する重大事件だ。健康被害が生じたら東京電力が責任を持つと明言せよ」と迫りました。
武藤氏は「承諾書を取るという行為があれば大変遺憾。被ばくによる被害が生じた場合、原子力損害賠償制度などに基づき誠実に対応する」と明言しました。
田村氏は、「命と健康を守ることを政府は約束せよ」と強調。菅首相は「統合本部の責任者としてしっかり把握して、国会に(末端までの下請け事業者名などの)資料を出すよう指導する」と答えました。