2011年5月20日(金)「しんぶん赤旗」
先みえない/仕事したい
被災地 雇用は深刻
ハローワークに殺到
福島、宮城、岩手の3県で、東日本大震災後、失業や休業したため、失業手当を受ける手続きをした人が10万6461人。震災が被災地の雇用に深刻な影響を及ぼしていることが改めて浮き彫りになりました。19日、被災地のハローワークでは―。
“勤め先が流されて解雇”
宮城・石巻
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被災した宮城県石巻市のハローワーク石巻には、求職や失業手当などのため多くの人が訪れています。昨年3・4月は約2900人だった新規の求職申し込み者が、今年は約7000人にもなりました。
同ハローワークでは、沿岸部の業者の多くが津波により社屋や施設などを失ったこと、市中心部の業者も浸水により仕事を続けられなくなったことなど、震災による失業・休業が大半だとしています。三浦政信所長は、「地元での仕事を希望する方が多いですが、特殊な資格などを必要としない求人の多くが県外のもので、需要と供給がなかなかうまくかみあいません」と話します。
幼い娘を連れて求人票を読んでいた女性(38)は、震災でそれまでパート勤めしていた食品加工工場が流され、ほかの従業員13人全員と一緒に解雇になったといいます。「娘は来年、小学生で、中学生の息子もいます。自宅も浸水し、夫の収入と私の失業手当だけではやっていけないけど、近場の求人は少ないので苦労しています」とこぼしました。
失業手当の手続きにきたという、元運送業の男性(32)。会社の車がほとんど流され、解雇されました。「(震災で)亡くなった父の事後処理や家の片づけがひと段落して、ようやく、これからの生活を考えられる状態まできました。先が何も見えなくて途方にくれたこともあったけど、なんとか頑張って仕事を探したいと思います」と話しました。(高橋拓丸)
“仮払いまだ。お金必要”
福島市内
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地震の発生した翌日3月12日から5月13日までの前年同期と比較して、手続きをした人が2・8倍になる福島県ではハローワークで仕事を探す人たちでごった返しています。
福島市内のハローワーク福島は午前8時30分から始まります。早朝から仕事を探す求職者が列をつくり、140台駐車可能の駐車場は満杯。路上まで並ぶ事態になっています。
「福島市内だけでなく、浪江町、飯舘村など避難生活をしている人たちもこのハローワーク福島に集中している」と担当者は話しています。会津若松市など全県から来ています。
浪江町の40代の女性は「放射能被害で福島市内に避難していますが、賠償金の仮払いもまだ。お金が必要ですから仕事を探しています」といいます。
郡山市の男性(59)は、大震災で液状化によって家が半壊となり住めなくなる被害にあいました。福島市内の知人宅に避難していますが「何でもいいから仕事をしたい」とハローワークに来ました。「被災者優先で農作業の仕事がありました。やったことがなくて不安ですがやるほかないです」と話していました。(菅野尚夫)
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