2011年5月20日(金)「しんぶん赤旗」

復興基本法案に対する

高橋議員の質問

衆院本会議


 日本共産党の高橋ちづ子議員が19日の衆院本会議で行った、復興基本法案に対する質問(要旨)は次の通りです。


 第一は、復興をいう前にいますぐ解決しなければならない問題です。地震・津波で助かった命をこれ以上犠牲にしてはなりません。不自由な避難生活は限界であり、一刻の猶予も許されません。

避難所生活の環境改善急務

 ひとつは、避難生活の環境を改善することです。報道によると、被災地のうち宮城、岩手、福島の3県で少なくとも524人が、長引く避難生活のストレスなどで亡くなっています。医師も「生活環境の改善によって抑えることができれば、新たな犠牲の多くを防ぐことができる」としており、政府の責任は重大ではありませんか。

 政府が把握できている避難所は全体の半数強。そのなかでも、おにぎりとパンのみの避難所や医師の巡回が不十分などの避難所が2カ月以上も放置されています。政府が手をこまねいている間に失ってはならない命が犠牲となっています。自治体に丸投げではなく、人的支援も含め、具体的に解消するメドを示すよう求めます。

 仮設住宅の建設が急がれますが、入居したとたん避難所であった食事の提供が打ち切られる問題が相次いでいます。細川厚労大臣は、自宅で避難生活を送る被災者も災害救助法の対象であり、支援すると答弁しました。仮設住宅に入居し、生活の糧がない人もあり、同様に支援すべきです。

 被災した住宅をとりあえず住めるようにすることも急務です。住宅の応急修理について、仮設住宅の入居要件と同じように所得や資産要件などをなくすべきです。

住民が戻れる地域の再建を

 第二は、復興の理念についてです。復興プランの一つとしてエコタウン、コンパクトシティーなどがいわれています。しかし、仕事ができない、住民が戻れない地域をつくっては再建にはなりません。一人ひとりの生活となりわいを再建することが、地域社会と地域経済の復興をすすめる最大の保証です。このことを基本理念の中心にすえ、政府が責任をもって支援することを明確にすべきです。

 復興をすすめる基本方針についてです。

 地域の再建をすすめるうえで重要なことは、水産業や農・畜産業、中小企業など地域社会を支えてきた人々の意向を最大限に尊重し、こうした人々が中心になって考える再建を支援していくことです。

 三陸地域の復興ではリアス式の豊かな漁場と漁業が果たしてきた役割を重視すべきです。壊滅的被害を受けても漁師をやめたいという人はほとんどなく、多くの人が浜の再建を願っています。こうした意向を無視した漁港の集約が再建につながるでしょうか。

 被災した農地や宅地を再建するため、一時的に国が土地を買い上げ、防災対策をおこなったうえで元の所有者に払い戻すことが求められます。安易な証券化などにより投機の対象にするようなことがあってはなりません。

 まちづくりや雇用の確保など地域を支える中小企業に対する直接の支援が重要です。岩手県では、被災した店舗や工場、機械設備の修繕に経費の半額を補助する制度を創設しました。国は今こそ、地域経済の再建のため、中小企業や店舗の再建に対する直接支援に踏み切るべきではありませんか。

将来にわたり地域医療再建

 第三は、大震災の被害を通じて社会保障のあり方が根本から問われています。医療、介護、福祉スタッフなどの献身的活動が被災者の命を救い、守っており、人的ライフラインというべきものです。しかし、医師を減らし、公立病院を統廃合し、地域医療を縮小してきたことが震災の被害を拡大させました。将来にわたって地域医療を守る体制が必要です。公立病院再建、民間医療機関への支援、医療介護福祉を支えるスタッフの確保へ思い切った対策をとるべきではありませんか。

 税と社会保障の一体改革に関する議論が再開されました。厚労省はこれまで以上に給付の重点化や選択と集中が必要だとし、年金額引き下げなど負担増やサービス削減を迫る意見が出されています。震災を口実とした我慢と負担の押し付けは許されません。壊されてきた社会保障を再構築することが必要です。

原発事故収束全力を尽くせ

 最後に原発事故災害地域の復興の問題です。法案は、「原発災害の復旧の状況を勘案しつつ」復興への取り組みがされるという書きぶりです。一日も早い事態の収束が最優先ですが、それは東電まかせでは許されません。福島県民にとっては復興どころか先の見通しがまったく持てない。被災者の思いに応えるためには単なる願望と根拠のない工程表ではなく、偽りのない、ありのままの情報を示し、誠意ある説明をすることが必要です。

 政府の原子力被災者への対応に関する当面の取り組み方針には、「原発被災者は国策の被害者」と明記しています。だとすれば、避難を余儀なくされた住民が住まいと仕事を確保して当面の暮らしを安定させること、故郷に戻りたいという思いに応えるため、国が最後まで責任を果たすべきです。同時に東電が免罪されるものでは決してなく、事故による直接、間接、全ての被害について全額を賠償させるべきです。

 被災者が一刻も早く生活となりわいの再建を果たし、地域社会と地域経済の復興が果たせるよう、原発事故の収束と住民が一日も早く安心した暮らしを取り戻せるよう、被災者の思いに寄り添い、力を尽くすことを誓い、質問を終わります。





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