2011年5月20日(金)「しんぶん赤旗」
子どもの被ばく 防げ
上限値の根拠不明 宮本氏に参考人
衆院青少年問題特別委員会は19日、東日本大震災が子どもに与える影響について参考人質疑を行いました。
日本大学の野口邦和専任講師は、文部科学省が示す児童の放射線量上限値(年間20ミリシーベルト)の根拠が明らかにされていないと指摘。「子どもは放射線に対する感受性が高いうえ、残りの人生も長く、発がんリスクが高い。子どもの被ばく線量を可能な限り低くすることが求められる」と述べました。
日本共産党の宮本岳志議員の質問に対し、国連高等弁務官事務所の千田悦子氏も「(文科省の基準は)被災をさらに高めることになり、理解できない」と述べました。
宮本氏は、文科省の基準が内部被ばくの影響を考慮していない理由について質問。放射線医学総合研究所の米倉義晴理事長は、食品に年間5ミリシーベルトの暫定規制値をかけているため「(内部被ばくの影響は)あまり大きくない」と指摘。野口氏は「内部被ばくが外部被ばくを超えることはないと思うが、ゼロではない」とし、内部被ばくの影響を考慮した基準を作成すべきだとの考えを示しました。
宮本氏は、一人ひとりの子どもについて放射線の影響を調査するとともに、長期にわたる追跡調査が必要ではないかと質問。米倉氏は「絶対に必要だ」と同意し、文科省の渡辺格科学技術・学術政策局次長も「放射線量の実態の把握や適切なフォローアップは重要だと考えている。調査が行われることになる」と述べました。