2011年5月17日(火)「しんぶん赤旗」
2次補正予算速やかに (下)
スピード求める声
商工業
資金や雇用で要望
震災で被害を受けた商工業者への支援も待ったなしです。東京商工リサーチは震災関連の経営破たんが11日現在で86件に達し、阪神・淡路大震災時と比べても「3倍増ペースで推移し…加速している」と報告しています。
日本共産党の被災地調査でも、「会員事業所の8割の560事業所が被災し、138人の事業主が死亡した。65%の会員が事業の継続を希望している。国の復興計画を早く示して支援策を打ち出してほしい」(岩手・陸前高田商工会の阿部勝也会長)、「スピードがないと復興への燃えたぎる気持ちがなえてしまう。国が早く方向づけをしてほしい」(宮城・石巻商工会議所の浅野亨会頭)など、スピードを求める声が相次ぎました。
具体的要求としては、債務の凍結に加えて、「超長期(30年・3年据え置き)、無利子融資の仕組み創設」「信用保証枠の拡大」「雇用調整助成金などの特例措置」など、立ち上がり資金と生活や雇用の維持といった要望が出されました。これらも2次補正で求められます。
住宅
希望者全員に仮設
宮城県石巻市の湊小学校の避難所では、年配の男性が「いま不安なことは、まず仮設住宅にいつ入れるか。津波で全部流されたから…」と訴えました。
石巻市では約6割の世帯が浸水。12日現在でも107の避難所に8357人が避難。亀山紘市長は「仮設住宅は用地の問題がネックになっており、造成費に国の補助がほしい」と語っています。
希望者全員が入れる仮設住宅や、民間賃貸住宅の借り上げを含めた住宅確保にはさらなる施策が必要です。
消防庁の調査では、震災による全壊住家約8万9千棟、半壊約3万6千棟。全国知事会は、生活再建支援法にもとづく予算として、現行水準でも8500億円が見込まれると試算しています。菅直人首相が明言した上限引き上げのための手当てが必要です。
原発被害
全面賠償を明確に
「2カ月も待って、たったの100万円。これじゃ先払いじゃなく後払いだ」。福島県南相馬市の市役所に相談に訪れた年配の男性は、東電の原発事故の仮払い金の額に、驚きの声をあげました。
原発事故によって住まいも職も奪われた人たち。日本共産党と川俣町民との懇談では「もう2カ月間搾乳しては捨てている。その間収入はゼロ」(酪農家)、「農機が盗まれる事態も起きている。東電の責任で補償してほしい」(農家)、「店の在庫も(家に)戻れなければごみになる。母は要介護4で介護施設に入れれば費用がかかるし、どうしたらいいのか」(自営業者)など悲痛な訴えが次々と寄せられました。
政府は支援の枠組み(スキーム)の設計を優先させ、賠償の仮払いを東電まかせにしていますが、それを待てないのが現状です。
志位和夫委員長が12日の記者会見で指摘したように、スキームの前にやるべきことが三つあります。一つは被害への全面賠償を明確にすること、二つは農業や漁業、商工業などへの賠償の仮払いをただちに行うこと、三つは債務は国が肩代わりし、東電に負担責任を負わせることです。(おわり)
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