2011年5月17日(火)「しんぶん赤旗」
国会図書館スパイ事件
調査活動への侵害
井上議員
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日本共産党の井上哲士議員は16日の参院決算委員会で、国会図書館に出向していた外務省職員が国会議員らの図書館利用状況を収集し外務省に報告し、外務省が内部回覧していた事件について「国会議員の調査活動の自由に対する侵害だ」と批判し、関係者の証人喚問を要求しました。
この問題は、今年2月に公開された1998年1月7日に外務省総務課が作成した文書などから明らかになったもの。日本共産党、自民党、社民党議員に対して行われていたことが判明しています。
井上氏は、憲法の理念実現に寄与する国会図書館の使命を揺るがす重大事件だと指摘。長尾真国会図書館長は「国会職員法19条の守秘義務違反にあたる」と述べ、外務省へ抗議し調査を求めたことを明らかにしました。
しかし高橋千秋外務副大臣は「守秘義務を有する外務省員に限定し、広く流布されることはないよう配慮したもので守秘義務違反と考えていない」と答弁。井上氏は、外務省は当時文書に「秘 無期限」と押印し、「本件の取り扱いについては、十分ご注意願います」と指示し、回覧文書には国会図書館出向中の職員からの報告であると明記して複数部署に回覧していることを指摘。「受け取る側も守秘義務に反して報告されたものであることは分かっていた。違法不当な情報収集活動が組織的に行われていた可能性が強い」と強調しました。
「違法行為と認識していたかは定かではない」とごまかす高橋副大臣に対し井上氏は、「行政府が国会活動に対してスパイしていたという大問題だ」と外務省を批判し、徹底した再調査を行うよう求めました。同副大臣は「検討する」と述べました。