2011年5月17日(火)「しんぶん赤旗」

主張

爆音被害

米軍は無法な飛行をやめよ


 「静かな夜を」「平和な空を」の当たり前の願いさえ無視して深夜・早朝も無法な飛行をくりかえし、国民を爆音被害で苦しめる在日米軍と無法を容認し続ける日本政府への怒りが沸騰しています。

 沖縄の米軍嘉手納基地周辺の住民2万2058人が原告となり、米軍機の深夜・早朝の飛行中止を求めて国内最大規模の「第3次嘉手納基地爆音差止訴訟」を起こしたのも、怒りがいまや頂点に達していることを示しています。国民の切実な訴えに耳を貸し、米軍機の傍若無人な飛行をやめさせることが、政府の当然の責務です。

国内法違反は明白

 米軍が日本国民の苦しみをよそにやりたい放題の行動をくりかえすのは、日本政府が国民よりも日米軍事同盟を優先し、米軍の無法を容認しているからです。

 米軍の無法ぶりは、在日米軍が作っている「日本環境管理基準」をみても明らかです。米国家環境政策法を受けて環境を保全することをうたい文句に作られたもので、日本政府が省庁をあげて作成に協力したものです。ところが「管理基準」には、「艦船、航空機、または基地外の作戦及び訓練要件には適用されない」と明記されているのです。

 これは深夜・早朝の飛行訓練や全国各地をまたにかけた低空飛行訓練による爆音を、米軍には軽減する気がまったくないことを示すものです。日本政府は「日本の関係法令上の基準を満たす」といって評価しますが、騒音規制を排除したのでは爆音被害がなくならないのは当然です。米軍をますます増長させるだけです。

 政府は、日米安保条約・米軍地位協定によって米軍の活動は保障されており、規制できないと説明します。しかし、これは通用しない議論です。

 安保条約第6条は基地の使用が「許される」と規定しています。条約で基地の使用を「許す」のが日本政府とされている以上、米軍の活動を日本が規制するのは当たり前です。「許される」側の米軍がやりたい放題というのは条約の建前からも許されません。

 しかも地位協定16条は米軍に日本の法令を「尊重する」ことを義務付けています。裁判所は数次の判決で「うるささ指数」が75以上を「受忍限度を超える」と判断していますが、もともと環境基本法の基準では、住宅地域では「うるささ指数」を70以下と定めています。

 嘉手納町によれば嘉手納基地周辺では「うるささ指数」の年間最高値が100を超える状況です。米軍は日本の法令違反を続けるべきではありません。

政府の責任は重大

 米軍騒音をめぐっては、沖縄では嘉手納や普天間、本土では厚木(神奈川県)や横田(東京都)などの周辺住民が「静かな夜」と「平和な空」を求めて立ち上がっています。憲法が保障する平和的生存権の行使であり、政府の責任が問われています。政府は、米軍を特別扱いせず、日本の法令を「尊重」させ、せめて深夜・早朝の飛行をやめさせるべきです。

 米国内では人口密集地域での飛行は許されません。米軍の異常を正すことが重要です。米議会の一部にある普天間基地を嘉手納基地に統合するなどという案は、嘉手納基地周辺の爆音被害を激化させるだけであり認められません。





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