2011年5月16日(月)「しんぶん赤旗」
中国 内陸原発計画
洪水心配 延期の可能性
新華社通信
中国政府が福島第1原発の事故を受け、すべての原発の安全検査を実施し、新設審査を一時凍結すると3月に決定したことを受け、国内では原発建設をめぐる論議が盛んになっています。中国国営新華社通信は「中国初の内陸原発建設が洪水の危険で延期される可能性がある」との見方を示しています。
このことを報じた中国通信によると、この計画は湖北省咸寧(かんねい)市通山県に中国初の内陸原発を建設するというもので、投資総額は600億元(約7500億円)です。
計画では10年に本体工事が始まり、16年に稼働することになっています。しかし湖北省科学技術協会の樊(はん)明武会長は「咸寧原発はまだ準備段階で、延期の可能性がある」と述べました。
「洪水」に言及したのは、3月の政府決定を受けて各種の原発検査に参加している担当者。建設計画段階にあるすべての内陸原発について「地震対策と同様に、洪水対策も重視しなければならない」と強調しました。
中国は世界有数の洪水災害多発国です。清華大学原子力科学工学科の劉井泉教授は、「洪水対策は、原発建設当初の建設地選定で最も重点的に検討すべき事項だ」と強調。「洪水による冠水、泥砂堆積で、原発は廃棄に追い込まれるだけでなく、核物質の熱を放出できず、放射能漏れなど環境に対し破壊的な影響をもたらす」と警告しています。