2011年5月16日(月)「しんぶん赤旗」

きょうの潮流


 東日本大震災は、東北地方をはじめ東日本の大学や研究施設にも大きな被害を与えています▼建物損壊や地盤低下、機器の破損が起き、施設の復旧には数カ月から1年に及ぶ場合もあるといいます。修士論文や博士論文の研究ができなくなった学生も数多くいるそうです▼震災で学生や若手研究者の日常生活と勉学・研究の場は奪われ、将来の夢までも失われかねないと、日本化学会など34学会の会長が先月、声明を発表しています。被災した大学などで装置や機器類が使用できず、「勉学や研究への意欲の低下、精神的ダメージが非常に大きい」からだと▼各地の大学、研究機関で学生や大学院生、研究者の受け入れ、講義の履修、図書館の利用などができる支援を行っています。しかし、支援の早さ、被災した大学などが早く落ち着いて勉学・研究できる状態へ、最大限の支援がいるというのです▼一方で、震災と原発事故は、科学・技術に対する国民の意識にも影響しています。国の研究機関による意識調査で、科学・技術が寄与できる社会的課題の何が重要かという設問に対し「資源・エネルギー問題の解決」「自然災害の予知・被害の軽減」「安全・安心な原子力の開発・利用」が上位でした。科学・技術への関心を示す女性が多くなりました。いずれも震災後の変化なのです▼「将来ある若者は復興と持続ある社会の構築に欠かせない」と先の声明にあります。若者たちが未来への希望を持つための支援は、この国の希望につながることです。





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