2011年5月15日(日)「しんぶん赤旗」
原発考えるシンポジウム
子孫に賢明な選択を
環境法律家連盟
福島第1原発事故をめぐる東京電力と国の法的責任、エネルギー政策転換を考えるシンポジウムが14日、大阪市内で開かれ、法律家や市民が参加しました。全国約550人の弁護士が加盟する日本環境法律家連盟(JELF)の主催。
北陸電力・志賀原発2号機運転差し止めの一審判決をかちとった岩淵正明弁護士(金沢弁護士会)が基調講演。各地の原発設置許可取り消し、建設・運転差し止め訴訟を紹介し、裁判所が「放射性廃棄物を生み出す原子力発電は中止しようという選択肢もあってよい。自分たちの子どもに何を残すのか、(中略)賢明な選択をしなければならない」との見解を示していることを指摘しました。
岩淵弁護士はまた、東電の13日発表の需給見通しからも供給力が上回っていると述べ、「原発に依存しなくても電力は十分に足りている。放射性廃棄物の最終処分のめどさえ立たず、コストの高い原発から、再生可能エネルギーへの転換を実現しよう」と訴えました。
原発事故の損害賠償、法的救済について質問が相次ぎました。
原発依存から脱却へ
公害・地球懇
「東日本大震災と福島原発事故から何を学ぶか」と題したシンポジウム(主催・公害・地球環境問題懇談会)が14日、東京都渋谷区内で開かれ、約40人が参加しました。立石雅昭さん(NPO法人ジオプロジェクト新潟理事長)、三浦広志さん(福島県農民運動連合会浜通り農産物供給センター代表理事)などが報告しました。
立石さんは「日本の原発は設置時に津波のことは考慮されておらず、ほとんど対策をとってこなかった。事故で冷却機能がなくなる危険はスリーマイル島事故以来指摘されていたが、日本では無視されていた」と指摘。「住民、国民が原発依存から脱して自然エネルギーへと進んでいく運動を進めなくてはいけない」と話しました。
三浦さんは自らの体験を交えて震災、原発事故による農業への被害について報告。「南相馬市で農業を営んでいたが、地震、津波、原発事故の三つの災害に見舞われた。家畜も農地も海に沈んでしまった。原発事故で住民の間に不安が増している。福島だけの問題ではない。浜岡は止めたけど、ほかの原発だって事故の危険はある」と訴えました。
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