2011年5月15日(日)「しんぶん赤旗」

“今こそ住民のために”

全党員が被災―長野・栄村

希望者全員に仮設住宅実現

現地リポート 中野さなえ県女性・児童部長


 栄村は長野県北部で新潟県に隣接する、人口2300人の小さな村です。東北地方の大震災が起きた翌日の3月12日未明、震度6強の地震に襲われました。幸い犠牲者は1人もでなかったものの、一時は1700人が避難生活を強いられました。全ての党員が家屋の全壊や半壊、田畑も破壊されるなどの被害を受けました。日本共産党は「今こそ村民のために頑張るのが共産党」と、各支部代表10人の村委員会を開きながら救援復興に全力をあげています。


車内で党会議

 被災後6日目の18日、最初の党村委員会が物置の一角で開かれました。余震が続き家屋には危険で入れないため、ときには隣の飯山市議のワゴン車を借り、その中で会議をするような状態でした。村委員長の斎藤康夫さんは、水道工事現場の労働者です。水道の復旧のため、日夜忙しく働いている合間に村委員会の招集です。これまで、ほぼ毎週開いてきました。

 栄村は「小さくても輝く自治体」をと「げた履きヘルパー」や「田直し事業」など、独自の政策を実行しながらコミュニティーをはぐくんできた村です。

 第1回の会議では斎藤村委員長が「職員だって被災者なんだ。その上住民のために働いてくれ目いっぱい。こんな時こそ共産党が頑張らねば」と党員を激励しました。

 「そうだ。栄村は年寄りが多い。ばらばらになったら心細くて暮らせない。まとまっていればまた栄村で暮らそうと頑張れる。おれたちは今までそうやって励ましあって生きてきたんだ」と、コミュニティーを何より大事にすることが村民の要求に応えてゆく基本だと心をひとつにしました。避難所も、役場、小学校など集落ごとにまとまって入るように考慮されたのです。避難所の住民は「近所の人がいるすけ、元気が出る」と話します。

職員解雇撤回

 村委員会は「コミュニティーを大切に」との一貫した態度で、県議団とも協力し村役場や県と交渉してきました。仮設住宅は当初40戸だけの予定でしたが、要求通り審査無しで希望者全員が入れる55戸に増設されることになりました。

 しかし、高齢者は「この年になって家を建て直すなんてできない(仮設に入ってもその先どうしたら)」と、崩壊した家の前でぼうぜんとしていました。

 こうした不安にこたえて「村営住宅の建設を」と、交渉した結果、村民の願い通りに、集合住宅ではなく、コミュニティーを重要視して集落ごとに希望数だけ建設されることになりました。「本当にこれで安心した」と党内外から安堵(あんど)の声が聞かれます。

 震災直後、突然、公共施設などを運営する財団法人栄村振興公社の臨時職員8人が全員解雇されました。

 職員から相談を受けた村委員会は、さっそく県労連と連絡を取り臨時職員との話し合いをもちました。その場で8人全員が加盟して自治労連の労働組合を結成しました。

 3月28日、村長との初めての団体交渉で、解雇は撤回されました。震災中にもかかわらず組合が結成され要求が通ったことも、「共産党があってこそ」「大変でも頑張ろう」と労働者を励ましています。

党が実態調査

 震災から2カ月たちました。村民の要求も新たな段階に入っています。雪解けに伴って、田畑の被害が明らかになってきました。村の水田面積は258ヘクタール、そのうち作づけ不可能な水田は全体の34・8%にのぼっています。

 栄村の収入の多くは、新潟の魚沼に匹敵するおいしいお米によります。農業補償も含め、生活再建の要求は一人ひとり異なり多様になっています。村委員会では県議団とも協力し、5月中に独自の実態調査を行う計画です。

 党中央からの党員被災者への見舞金1人1万円も、全党員一人ひとり残らず手渡されました。結集できていなかった党員も「どこまでできるか分からないが、こんなときだからこそ頑張りたい」と、連帯の輪が広がっています。

図




■関連キーワード

もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp