2011年5月14日(土)「しんぶん赤旗」

米原発に改善の余地

NRC調査団報告 3分の1に欠陥


 【ワシントン=西村央】米原子力規制委員会(NRC)は12日、日本の福島第1原発からの教訓を米国の原発にどう生かすかについて検討する初会合を開き、事故後1カ月間にわたって分析を行った特別調査団から報告を受けました。米メディアが伝えました。

 調査団は、福島第1原発では、電源喪失が原因で、原子炉と使用済み核燃料貯蔵プールが高温となり重大問題を引き起こしたことを重視。今回の分析では、原子炉が電源喪失となった場合のバックアップシステムに焦点をおきました。

 調査では、104基の米原子炉のなかで、バックアップ用のポンプが起動しない▽非常用システムの燃料が災害時に被害を受けやすい場所に保管されている―などのケースが見つかりました。欠陥が見つかったのは米国の原子炉の3分の1近くに及んでいました。

 調査団は、現時点では「米国の原子力発電所の安全性や緊急対応への信頼を損なうような問題はない」との見解を示す一方で、改善の余地はあるとし、長時間の電源喪失などの事態への対応を注視しています。

 NRCは11日に国内の各原発に対し、日本で起きたような地震や津波による破滅的な惨事にどう安全策をとっているのかについて調査要請を出しています。

 これをもとにしつつ、7月には報告書をまとめ、安全管理に向けた指針を発電所側に勧告する予定です。





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