2011年5月11日(水)「しんぶん赤旗」

民主党憲法調査会

前原氏会長で改憲大連立狙う

民・自中心に 議論始める態勢づくり


 民主党は10日の常任幹事会で、党憲法調査会を設置し、前原誠司前外相を会長にあてる人事を正式に決定しました。


 いま、民主党が憲法調査会を設置するのは、改憲原案の発案・審査権を持つ衆参両院の憲法審査会の始動をにらみ、政権与党として改憲論議を行う正規の機関を改めて整備するものです。

「これで動く」

 岡田克也幹事長は9日の記者会見で、「前原会長のもとでしっかり憲法論議をしていく」と表明。民主党の元憲法調査会関係者は「党の体制がないままでは、衆参の憲法審査会の始動はないと思っていたが、これで動くことになる」と述べます。

 民主党は今週にも参院で、憲法審査会規程の議決を行うとしており、これを受け自民党などは、衆参両院の議院運営委員長が協議し、衆参で憲法審査会の委員の選任を進め、衆参そろって始動させる動きを強めています。

 民主、自民の「二大政党」が中心となり、国会で正式に改憲論議を始める態勢を整えようという重大な動きです。

 会長に就任した前原氏は、改憲・タカ派で知られる人物。「読売」5月3日付「憲法記念日座談会」で、「まずは憲法改正手続きを定めた96条を改正しないといけない。…憲法改正のハードルを低くするべきだ」と明言。現在の憲法に「緊急事態」に関する規定がないとし、「有事には個人や地方にとにかく従ってもらう必要があり、『お願いベース』ではうまくいかない」などと述べ、震災を口実とした、強権的な体制整備の考えを見せました。

“改憲認める”

 前原氏は、2005年9月に党代表に就任後、自民、公明、民主3党で改憲手続き法を共同成立させる流れに積極的に同調する一方、自民党が「新憲法草案」をまとめたのに対応し民主党の「憲法提言」を取りまとめ、「憲法改正論議をわが党が中心となって進めていきたい」と述べました。同年12月の訪米時には、1千海里以遠のシーレーン防衛のために「改憲を認める」と発言し、党内からも反発を呼びました。

 また、改憲の運動と目標を自民、民主両党が共同で進める体制を築いた新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)に、08年から副会長として参加。外相就任後現在まで役職にとどまっています。

 前原氏の起用について民主党議員の一人は、「自民党に受けのいい前原氏を立て、自民党の取り込みをはかるのが狙い」と指摘。また「前原氏自身も、自ら大連立への布石とする意図がある」との声も出されています。 (中祖寅一)





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