2011年5月11日(水)「しんぶん赤旗」
参考人質疑 「想定外は免罪符」
柳田氏指摘 津波の研究成果無視
参院経産委
参院経済産業委員会は10日、東京電力福島第1原発事故についての参考人質疑を行いました。
意見陳述した作家の柳田邦男氏は、今回の大津波は「想定外」だとする東電や政府の関係者らの説明に関連し、過去の大津波について多くの研究成果があり、危機が指摘されていたにもかかわらず無視されてきた経緯を指摘。予算などの縛りから、最大限の危機を想定するものはつくれなくなり、最低限守るべき基準が、「それを維持すればよい」という最大限の「線引き」に化ける「逆立ち現象」が起きていると述べました。また柳田氏は、「想定外というのは、それ以上のことは考えないことにしようという思考様式に免罪符を与えるキーワードだ」と批判しました。
原子力が専門の岡芳明早稲田大学理工学術院特任教授は、大地震や大津波の危険性があるのは、運転中止が決まった中部電力浜岡原発だけではなく、他の原発についても安全性の早急な調査が必要だとの見解を示しました。
被曝(ひばく)医療が専門の山下俊一長崎大学大学院教授は質疑のなかで、農産物の出荷制限や「風評被害」は、国民の命と健康を守るために払わされた「代償」であり、しっかり賠償すべきだとの考えを示しました。